元PayPalの開発者達によって作られた決済システム『Initiative Q(イニシアティブ・キュー)』のエアドロップがSNSで拡散している。Initiative Qを発案したのは詐欺防止技術『Fraud Sciences』を開発してPayPalに事業売却したSaar Wilf氏だ。
11月2日からエアドロップキャンペーンを実施しているが、「何百万人もの人々が参加すれば主要通貨になる」「エアドロップで受け取れる金額は毎日少なくなる」といったうたい文句で賛否を呼んでいる。
エアドロップに参加するには招待を受ける必要があるが、Initiative Qにサインアップするだけで登録は完了されるためウォレットなどの準備がいらず手軽なことも拡散を後押ししている。
仮想通貨のエアドロップとしてはそれほど目新しさのないキャンペーンだが、どこまでユーザーを増やしていくのか注目が集まる。
Initiative Qの経済モデル概要
Initiative Qの公式サイトによると、決済ネットワークの開発に成功すれば1Qあたり1米ドルの価値で提供される見込みだという。
価値算定の根拠として、Initiative Qでは通貨の流通速度を指標にしている。
交換方程式 により「通貨の流通速度」が求められ通貨の流通速度はその通貨の合計支出 (または収入) 割る貨幣供給量 (流通している通貨の合計量) と定義されています。
この定義に当てはめると、世界の通貨の平均流通速度は2となる。長期的な目標として、Qの平均流通速度も2に近づけることで、主要通貨を目指すアプローチだ。
Initiative Qの決済ネットワークの概要
初期の流通を促進するためQを無償配布
Initiative Qは国際的な主要通貨となることを目指している。その障壁になっているのは「売り手も買い手も利用できる決済手段がないこと」だ。
売り手のいない新しいネットワークに加わりたい買い手はいないということ、そして、買い手が使わない決済オプションを採用する売り手はいない、といういつの時代も変わらない障壁にあります
この最大の課題を解決するための最初の手段として、無償でQを配布して流通させる戦略だ。
高度な詐欺対策
既存の課題として、クレジットカード決済や国際送金の手数料のうち、多くが詐欺対策に費やされている事が挙げられる。Initiative Qでは高度な技術をもって詐欺防止の精度を高め詐欺を削減するとしている。
弊社はすでに複数の驚くべき技術を採用しており、スマートフォンには指紋センサー、GPS、顔面や声を認識可能なカメラとマイクや、最も高度な暗号化機能が搭載されています。これらの機能は個人情報の窃盗がはるかに困難になる、高度に安全な 多要素認証方式を実行するために利用されます。
発案者のSaar Wilf氏は詐欺防止技術のソリューションをPayPalに事業売却しているだけに、この領域がInitiative Qのコアになる事が考えられる。
Initiative Qと暗号通貨の違い
Initiative Qは暗号通貨のシステムについて「順調に機能しており、現在これに勝るシステムはありません」と一定の評価はしているものの、一線を画すシステムであると違いを明確にしている。
暗号通貨の特徴は数学的に優れた「不変の通貨元帳」であるが、それは今日において必要とされていないとInitiative Qは主張しており、セキュリティリスクをユーザーに責任転換していることを課題に挙げている。
Initiative Qもネットワーク内の残高の清算にはブロックチェーンを利用して顧客保護をすると記載されているが、詳しい利用方法についての記載は無い。
Initiative Qに関する概要や理念、ビジネスモデルといった情報は公式サイトに記載されているが、ホワイトペーパーの類のドキュメントは公開されておらず、具体的な技術については不明な点が多いのが現状だ。
ネットの声はInitiative Q懐疑派、否定派の意見が目立つ
TwitterのInitiative Qに関する議論を見ていくと、懐疑派、否定派の意見が目立つ。肯定派の意見が少なく見えるが、肯定派のユーザーは定型文をコピペした招待リンクをシェアしているため、自分の言葉でInitiative Qの利点を説明しない傾向があるようだ。以下は懐疑派、否定派の投稿内容。
(1) Initiative Qが今日になって流行ってます。コメントを求むという声が周りから多いので、コメントと予測を書いておきます。
結論からいうと、これは人々の愚かさを示す記念碑てきなプロジェクトだろうということです。つづく・・— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(2) まずInitiativeQですが、先に登録した人があとのひとを招待するというMLMな登録方法で、先になればなるほどもらえるコインがふえるというものです。MLM登録式のエアドロップコインとみてよいでしょう。
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(3) サイトをみると、ペイパル創業者が始めた、画期的、いま登録すると40万円(相当)のコインが配布されるなどと書かれています。しかし、技術的な説明となると「一切」なく、ホワイトペーパーもありません。つまり、現在はマーケティングキャンペーンのみが存在するだけと見てよいでしょう
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(4)コインですがERC20トークンが用意されているようで、実際に配布もされるかもしれません。運営側は頑張ってこれを上場させるかもしれませんし、お金に変えられるとおもった登録者もそれを応援します。
そして多分、この無意味なトークンは過去の例からみても上場されるでしょう。— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(5)当然運営者はここで保有コインを売り抜けます。煽っていたひとも持っとね上がると煽りつつも自分のコインは売り抜けるでしょう。最後にババを引くのは最後に参加した無知で煽られた人々です。
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(6)このスキームの巧妙だとおもったところは、誰も否定も肯定もできないことです。当然積極的に肯定はできませんが、否定もできません。対価を払い込むわけでもなくエアドロップの登録だけなので否定のしようがありません。
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(7)また否定して登録しなかった人がいると、そのひとを信じたおかげで利益をえられなかったとして、逆恨みされる可能性もあり、積極的に否定もできません。そして、人々は愚かなので、トークンが上場されると買う人もでてくるとおもいます。実際に登録者は利益を得てしまうのです。
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(8)さらに登録したひとはこれで儲かって欲しいので、上場とかしてほしいわけです。多くのひとがそうした側に取り込まれると、カルトみたいになって、否定派を攻撃しはじめます。これは某コインなどをみれば明らかなことです。
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(9)エアドロップ権利をめぐってMLMしている分には違法とはいえず、なにもいえません。ICOでもないので規制もありません。これが売買されたらモラル的に問題があるくらいしか指摘できないのです。
しかし人々の射幸心を直撃させています。これぞまさに○○アーティストの真骨頂でしょう。— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
(10)ということで一時的に盛り上がるとおもいますが皆がばかばかしさに気づくと沈静化するとおもいますが、トークン売買が始まり、人々がどれだけ愚かかを市場がしめすことになるかもしれません。あまりに愚かなことを嘆くしかなさそうです。
— ビッグストーン Bigstone (@bigstonebtc) November 5, 2018
Initiative Qについて。「信頼チェーンで本人性を確認。管理主体あり。金融分かってる。Bitoinと真逆。応援したい」との意見もあり。 https://t.co/zI3mydbbjy
一方WikipediaではMLM、scam、ピラミッドスキーム、証券基準満たさず、大口ホルダーが市場操作可能の疑いとある。https://t.co/mBVcAddHFJ— 星 暁雄 (@AkioHoshi) November 5, 2018
Initiative QはBitcoinとは真逆のアプローチである点は、間違いなさそうです。
個人的には、ソーシャルグラフを私企業に使わせることには警戒したい立場です。ケンブリッジアナリティカの前例もある。もう一点、金融分野で信頼のチェーンを作ると称する会社を簡単に信頼していいのかどうか。
— 星 暁雄 (@AkioHoshi) November 5, 2018
Bitcoinの「第三者への信頼を前提とせず機能する」アプローチは革命的でした。もちろん革命を好まない人もいますが。
一方Initiative Qの「ソーシャルグラフをたどり信頼を利用する」手法はSpammer、Scammer、フェイクニュースの常套手段です。Wikipediaが警戒色に染まっているのはそのためでしょう。
— 星 暁雄 (@AkioHoshi) November 5, 2018
Initiative Qに関しては、
「もし登録する場合、メールアドレス、パスワードは流出しても問題がないものに!」
「後日『割引購入できます』といった勧誘メールが届いても応じないように! ソーシャルグラフが近い人にも警告しましょう」という注意喚起をするべきかと思います。
— 星 暁雄 (@AkioHoshi) November 5, 2018
Bitcoin界隈の経験が長い人は、詐欺的な案件へのセンサーが異様に発達しています。恥や損を避けたい場合、彼らの話は聞いた方がいいですよー。
— 星 暁雄 (@AkioHoshi) November 5, 2018
元ペイパルに事業を売った起業家による「Initiative Q」が怪しい・・?仮想通貨をばらまく社会実験継続中 https://t.co/okhBN2z6Wp pic.twitter.com/7N2k1WZxSC
— techwavejp (@techwavejp) November 2, 2018
元PayPalの開発者がつくった新しい決済サービスの事前登録が流行ってるみたいで、怪しいもの好きとして乗っかってみました。気になる方はお早めに。
以下招待URLです、先着5名までご自由にどうぞ。https://t.co/QO4mWq5QRP#initiativeQ pic.twitter.com/4fidHpAyrT
— ねんざB (@nenzab) November 2, 2018
まだの方どうぞ。本当に元PayPalの人がやってるのかとか色々思う所はある @InitiativeQ is a new currency built by ex-PayPal guys, currently given for free. If Q becomes a leading payment network, economic models estimate the reward would be around $50,000.https://t.co/9cp7uL55zr
— Yuki Shichiku (@79yuuki) November 2, 2018
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