この度は「あなたの夢が、みんなの財産になる」を掲げた、ドリーム・シェアリング・サービスFiNANCiEのCEO田中隆一氏にインタビューを行わせて頂きました。
FiNANCiEは、夢を実現したい人(オーナー)と夢を応援したい人(サポーター)が、夢の実現に向かって共に歩んでいける新時代のコミュニティプラットフォームです。
オーナーが発行する『カード』を、ファンが購入することによって、夢を実現したい人とファンの双方がメリットを享受できる仕組みになっています。
この新たなSNSの出現により世界がどう変わっていくのか。またブロックチェーンはどのような変化をもたらしていくのか。さまざまなお話を伺わせていただきました。
「アイドルをイメージして頂くとわかりやすいと思うのですが、ファンの支援は一方通行で現実的なリターンはほぼありません。
また活動初期から応援している人と新しくファンになった人の違いはなく、扱いは一律となるのでモチベが上がらずファンを辞めてしまう人も中にはいらっしゃいますよね。
ファンにとっては応援することで自分もメリットを享受でき、活動をする人は寄り添って応援してくれる仲間を見つけられる、そういった環境を提供することで、お互いにメリットがある状態を継続できるのではないかと思っています。」
-田中隆一氏
―コイン東京
よろしくお願い致します。さっそくFiNANCiEについて伺いたいのですが、まずは立ち上げの経緯をお話し頂けますでしょうか。
―田中さん
現在様々なブロックチェーンのプロトコルレイヤーやセカンドレイヤーが誕生してきましたが、まだまだブロックチェーンを利用したサービス自体が少なく、実利用ケースを増やさないと技術の発展も見込めなくなります。
昨今、ブロックチェーンを用いたサービスとしてゲームの分野は少しずつ生まれてきていますが、個人間でリアルな価値交換の場としてブロックチェーンを活用することはできないのかという考えに至ったのが一つの大きな理由ですね。
私自身、以前はジンガというFacebookプラットフォームで世界最大プレイヤー数を抱えていたゲーム企業に勤めていたことがありましたが、そこでは1億人以上のプレイヤーがFacebook上で他プレイヤーと協力や対戦することを楽しんでいるのを目の当たりにして、インターネットを通じた人との繋がりが如何に価値を生み出すのかということに理解があったことも理由として挙げられますね。
また、日本では組織から個人の時代へという風潮の中、実際に人の価値を可視化する評価経済のサービスも生まれ始め、我々もそれだけに留まらずよりエンパーメントさせるようなコミュニティの仕組みを作っていこうという思いがFiNANCiEの基盤になりました。
―コイン東京
「コミュニティの形成」というのは現代のキーワードの一つですよね。具体的にどのように形成していこうとしているのでしょうか。
―田中さん
まず、我々の中でブロックチェーンの仕組みにおいて言うと、3つの要素が重要なのではないかと思っています。
一つ目は非中央集権であること。これは例えば最近FacebookがLibraという仮想通貨を発表しましたが、あれは発行こそFacebookが行いますが、真の目的はトークンによるコミュニティ・エコシステムの構築にあるわけですよね。ビットコインもイーサリアムもそうですが、それによってコミュニティ参加者が合意できるような仕組みであるという点です。
二つ目は、自律型であるということです。運営側が中心になって関わらなくてもいいような仕組みやルールを予め作ることで、コミュニティ内のメンバーがそれぞれの意識として健全な方向に拡大していくということですね。
三つ目はインセンティブの設計です。プラットフォームが立ち上がるためには、まずは最初の数人でも成立するだけの価値の提供ができるか、また初期からの参加ユーザーがプラットフォームの規模拡大を積極的に関わることでのインセンティブを享受できるか、という部分も重要な要素の一つですね。
以上の3つが、ブロックチェーン・仮想通貨のプロダクトで大事なポイントだと考え、システムを構築しています。
―コイン東京
FiNANCiEは「夢を叶える」といった自己実現の要素が重要なポイントとして組み込まれていると思うのですが、FacebookやTwitterのような従来のSNSと比べ、どういった違いでそれを可能にしていくのでしょうか。
―田中さん
勿論FacebookやTwitterといった従来のSNSでも、人同士が出会い何か新しいコンテンツを生み出すといった機会がありますが、プラットフォーム自体がそれを推奨している訳ではなくメインはあくまで情報の発信・共有・共感になります。
誰かが情報を発信し、共感した人が"いいね"を押すという流れが現状のSNSにおける主流ですが、"いいね"自体は何かを生み出すわけではなく、発信者の承認欲求を満たすのがメインです。こうした承認欲求のレイヤーはインスタグラムやTikTokなど新しいサービスも生まれ、過度な承認欲求を生み出している要素の一つでもあると思っています。
ですので、我々は承認欲求だけを満たすSNSではなく、応援する・応援される人が繋がることでお互いにリアルな価値を受け渡しできる仕組みを作ることで次世代のソーシャル社会を生み出すことができるのではないかと考えたことがFiNANCiEというサービスの根底にあり、他SNSとの一番の違いになっていると思います。
―コイン東京
人との繋がりがリアルな価値を生み出すというコンセプトは興味深いですね。因みに、従来のインターネットでは自己実現が達成しづらかったのはどういった部分に原因があったからなのでしょうか。
―田中さん
自分の夢に向かって行動する人は、勉強なり練習なり何かしら努力をしていると思うのですが、例えば勉学であれば留学、スポーツであればスクールなど、突き詰めて努力を行おうとするとお金が必要になってくる所も多くなる上に、例えその人を応援したいと思っている人がいたとしても直接的に支援できる場は現状多くありません。
また、アイドルをイメージして頂くとわかりやすいと思うのですが、ファンの支援は一方通行で現実的なリターンはほぼありません。また活動初期から応援している人と新しくファンになった人の違いはなく、扱いは一律となるのでモチベが上がらず、お金を使うだけ使ってファンを辞めてしまう人も中にはいらっしゃいますよね。
ファンにとっては応援することで自分もメリットを享受でき、活動をする人は寄り添って応援してくれる仲間を見つけられる、そういった環境を提供することで、お互いにメリットがある状態を継続できるのではないかと思っています。
―コイン東京
活動する人と支持者両方にとって良い関係を維持できる環境が必要ということですね。個人に対して支援を行うというコンセプトは、オンラインサロンやクラウドファンディングといったものもあると思うのですが、FiNANCiEはどういった部分に違いがあるのでしょうか。
―田中さん
まずクラウドファンディングとの違いですが、クラウドファンディングを通しての支援はプロジェクトが成功するかしないかだけの一過性のものになりがちで、支援に対するリターンもモノや権利が貰えるだけといった、言ってしまえば決まったモノ以上のリターンはありません。オンラインサロンも同じような形ですね。
FiNANCiEでは、個人の価値が高まることによって支援者が受け取るメリットも高めることができるという違いを持っています。
―コイン東京
FiNANCiEのサービスを見てみると、他のサービスと違い良い意味でブロックチェーンっぽさがないように感じられるのですが、これは何か意図があってのことなのでしょうか。
―田中さん
最初は我々も全面的にブロックチェーンを押し出すような形で考えていたのですが、このサービスを使うユーザーはブロックチェーンの識者だけではなく、所謂一般の人なんですよね。
一般ユーザーにウェブサービスを提供するうえで、現時点で仮想通貨やウォレット、ブロックチェーンの話を持ち出すと、そこで離脱してしまう可能性も大きくなるのではないかと思い、できるだけ多くの人に伝わることをコンセプトにしました。
―コイン東京
初見の人でもわかりやすく、非常に使いやすい印象がありました。
―田中さん
現在サービスはβ版ですが、今年の夏ごろには正式版がリリースされ、同時にアプリもローンチされる予定となっています。
―コイン東京
ありがとうございます。
先ほどお話にもあった通り、現在FiNANCiEはβ版が公開されオーナーの選定が行われている状況だと思うのですが、この選定の審査基準はどういったものなのでしょうか。
―田中さん
まだサービスがβ版ということもあり、アスリートやアイドルの卵、e-sports選手から起業家まで様々なジャンルの人を選定したいと考えています。現時点での選考ポイントとしては既に名が売れている人よりも、今から立ち上がろうという人を選定しています。 また、情報を発信するだけではなく、絶対に叶えたい夢があるという強い意志を持っていることを重視していきたいですね。
―コイン東京
知名度ではなく、夢や意思といったエモーションの部分を重視して選考しているということですね。
―田中さん
そうですね。"情熱がある=それを応援する人がいる"という形になるので、ジャンルを問わず熱意を持って夢に向かって活動を続けている人をピックアップしていきたいですね。
現在はこういったコンセプトで選考を続けていますが、今後はまだ活動を始めていない人や、既に知名度がある人等、選考の幅も広げていきたいと考えています。
―コイン東京
ありがとうございます。
続いては投資側(ヒューマンキャピタリスト)のお話をお伺いしたいのですが、キャピタリストの選定はどのように行われているのでしょうか。
―田中さん
ヒューマンキャピタリストの方々は、ベンチャーキャピタリストの方や起業家、法律家など、FiNANCiEが持つ「誰かを応援すること」というコンセプトに賛同して頂けた多種多様な専門家さん達によって構成されています。
FiNANCiEの対象は人ではありますが、立ち上がったばかりのものに投資やアドバイスをしてメリットを享受するという仕組みなので感覚的にはベンチャーキャピタリストにも近いかもしれません。
―コイン東京
これまでの中で、サポーターの人やヒューマンキャピタルの人から受けた支援の実例はございますか。
―田中さん
例えば現在ですと、専門家のヒューマンキャピタルの方に対してSNSの効果的な運用方法や業界のリサーチ等、専門的な知識を伺うといった支援が多いですね。
―コイン東京
応援される人(オーナー)にとって必要な知識を支援として享受できているのですね。
―田中さん
応援する人、いわゆるファウンダーさんは逆に限定の交流会やチャンネルに参加出来る等、様々なメリットを享受することができます。
「最近話題にもなっている終身雇用に関することなど社会のセーフティーネットが変わりつつあり、特に若い世代では一つの企業に就職すれば一生安泰とは言えない世の中になってきました。
その中で人が人らしく生きていく為には、今までの組織に個人が入るという社会システムだけではなく、それ以外の仕組みが必要になってくるのではないかと考えています。」
-田中隆一氏
―コイン東京
ありがとうございます。少し話が変わるのですが、FiNANCiEはBancorのシステムを利用していると思うのですが、今回Bancorを採用した理由はどういった部分だったのでしょうか。
―田中さん
Bancorアルゴリズムを採用した理由は明確ですね。価値として認められる上で重要になるポイントは流動性です。流動性とはどういうことかというと、色んな人が「価値がある」という風に認めて、認めた者同士受け渡しが出来るようになることで初めて『価値』が生まれます。
逆に、どれだけ潜在的な価値を持っていても、一切流通していないのであればそれは価値があるとは言えません。
そういう意味ではカードという形をとって個人間のやり取りとなると、どこかで必ず流動性の問題に突き当たるだろうと確信していたので、今回Bancorのアルゴリズムを採用することにしました。
―コイン東京
Bancorのアルゴリズムを採用することで流動性が担保されるというお話ですが、具体的にはどのように流動性が担保されるのでしょうか。
―田中さん
では、まずBancorの基本的な仕組みからお話させて頂くと、Bancorは交換する価値同士をお互いに供託することができます。FiNANCiEで例えると誰かのカードと日本円のポイントを供託しておき、カードが誰かに買われ在庫が減るごとに需要に応じて価格が自動決定されるというシステムになっています。
この仕組みのどこが流動性の課題を解決しているのかという話ですが、カードとポイントの売買の値段は需要によって変わりますが、運営を相手に行えますので、基本的にはいつでも自由なタイミングで売買を行うことができます。
極端な話ですが、買いたい人や売りたい人が一人でもいれば流動性が発生するということになりますね。
―コイン東京
取引所のように売りたくても買い手がおらず売れない、買いたくても売り手がおらず買えないという状況が起こりえないということですね。
それでは続いての質問ですが、FiNANCiEを構築するうえで一番苦労したことはどのような部分でしょうか。
―田中さん
これはまだ解決策を模索している段階でもあるのですが、フィナンシェの複雑なシステムをどうわかりやすくUX/UIに落とし込んでいくかという部分ですね。
先ほどコイン東京さんにブロックチェーンっぽくなくわかりやすいと仰って頂きましたが、これでもブロックチェーン自体に触れたことのない一般層から見ると少し複雑に感じるのではないかと思います。
オーナー側も、応援する側もブロックチェーンの知識を一切持っていなくても直感的に使い方がわかるような構成にしていければと思っています。
―コイン東京
システムが複雑になりがちなのはDapps業界全体の課題でもありますよね。ちなみにですが田中さんはいつ頃からブロックチェーンの世界に入られていたのですか。経歴も交えて、もしよければ教えてください。
―田中さん
5年前まで東南アジアの決済のアグリゲーションの事業をやっていました。東南アジアといっても様々な国があり、その国々ごとに決済を対応していくというのは非常に大変なことなんですね。それを我々は各国の決済手段を一つに纏めてコンテンツホルダーに普及することを目的としていました。
東南アジアの若い年齢層は、銀行口座すら持っていないという人も多いです。その代わりスマートフォンを持っている人が多いので、携帯電話を用いてのプリペイド決済という手段が浸透しています。
日本でもゲームカードや電子マネーという形で目にすることがあると思うプリペイドカードですが、同じようなものに見えても国が違えばシステムも違ってくる為、国を跨いでの送金での使い勝手は良くありません。
我々はそういった国ごとに変わる送金システムを一つに纏めるという仕組みを2012年頃から模索しています。
東南アジアは決済手数料が30~40%になる所もあり、コンテンツホルダーさんはそれだけで多くの収益を失っているという側面があり、そういった意味でも法定通貨には限界があると思います。
そんな中、シンガポールにあるビットコイン自販機を使ってペーパーウォレットを発行し、フィリピンで法定通貨に両替すると瞬時に価値の伝送ができ、手数料もほぼかからないという仕組みを目の当たりにし、仮想通貨に対する可能性を強く感じました。
―コイン東京
決済手数料が30%~40%とはかなり高額ですね。
―田中さん
その後2016年後半から2017年頃ですかね、事業の方針を考えている中で、多くのプロジェクトがICOを実施するようになりました。世界を変えるように感じるプロジェクトもあればただのスキャムにしか見えないものまで、本当に多くのプロジェクトが発表されました。
プロジェクトは海外発のものが多く、国内でプロジェクトに対する情報を集めるには限界があり、ブロックチェーンが持つ価値のインターネットという特徴を世界に浸透させていく手助けをする為に、ICOのスコアリングを行う「ビットインベスターズ」というサービスを開始することになりました。
その後、2017年から2018年にかけて仮想通貨のバブルが崩壊したことで、これまで多かったスキャムのICOがどんどん減って、代わりにアメリカのシリコンバレーにあるような大企業がブロックチェーン業界に参入する機会が増えてきました。
仮想通貨やブロックチェーンの可能性が広がる中、我々も今まで以上にブロックチェーン業界へ参画したいという想いから、gumi社の国光会長とも意気投合してgumi cryptosの設立をお手伝いさせていただきました。
―コイン東京
ありがとうございます。これまで様々なプロジェクトに携わってきたと思うのですが、その中で感じたブロックチェーン業界が抱える課題点や今後の展望などはございますか。
―田中さん
ブロックチェーン技術の誕生からこれまで多くのプロジェクトが発足していきましたが、実利用という意味ではまだまだ発展途上で知見が少ないという印象があります。
また最近は大手も含めて様々な業界が実証実験という形でブロックチェーンを活用し始めていますが、実証実験止まりで次の段階へと進んでいる企業は多くありません。
というのもブロックチェーンが持つ堅牢性や信頼性、コストといった部分を皆さん重要視しているのですが、ブロックチェーンが真の意味で効力を発揮するには仮想通貨・クリプトアセットが必要になるからだと私は思っています。
それは一体何かというと、法定通貨との兌換性があるかどうかという部分になります。プロダクトの中でトークンによる経済圏が出来ていても、法定通貨との兌換性がなければ価値を見失ってしまいます。
更に言うと、プロダクトの初期から参加するメリットというのは突き詰めて言えばアセットの価値が高まることだと思っているので、ブロックチェーンだけではなく、そういったアセットの仕組みをしっかりと落とし込んでいく必要があると思います。
法定通貨の価値も詰まるところは、コミュニティの価値(生産力、信用力)につながっているので、概念として実は同じことだと言えるのだと考えています。
その為には会計や法律の整理を行い、取引所が扱うトークンが制限されている現状を打開する必要があるのではないかと考えています。
―コイン東京
次が最後の質問になるのですが、FiNANCiEが今後目指していくものと、田中さん個人がブロックチェーンを用いてどう世界を変えていきたいのかという、2つをお聞かせいただけますか。
―田中さん
まずFiNANCiEのビジョンですが、やはり我々はグローバルな市場を狙っていきたいと思っています。FiNANCiEのサービスを通して世界中の誰しもが夢を持って、その夢を応援してくれる人と繋がりコミュニティを形成し、最終的には自己実現へと繋げていける世界を目指していきたいですね。
―コイン東京
既にサービスは国外リリースされているのでしょうか。
―田中さん
国外でのローンチはまだですね。
まだどの国で展開していくかという所まで決まってはいませんが、現在興味を持っていただいた様々なパートナーさんと話をしておりますので、国内での展開をしっかりとやり切った後、具体的に決めていければと考えています。
次は私自身が実現していきたいことですが、最近話題にもなっている終身雇用に関することなど社会のセーフティーネットが変わりつつあり、特に若い世代はどこかの組織に所属すれば、一生安泰とは言えない世の中になってきました。
その中で個人が人間らしく生きていく為には、個人が企業という組織に依存している現在の関係から自立していく、そういった仕組みが必要になってくるのではないかと考えています。
我々が提供しているFiNANCiEが目指す部分でもありますが、これから次の世代、次の次の世代へ向けて、個人が一人の人間として輝ける社会が当たり前となれるよう活動していければと思っています。
―コイン東京
本日はありがとうございました!
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