NEMは新しい経済圏を作ることを目的としたプラットフォームです。NEMという名前の由来は、この目的を英語にした「New Economy Movement」のアクロニムです。
ここではXEMと呼ばれる通貨を利用して、取引が行われています。
これからそのNEMとは何か、そして新アップデート「Symbol」について解説していきます。
NEMの特徴
NEMの特徴は下記の通りです。
- 承認方式がPoI
- ハーベスト報酬制度
- アポスティーユ機能
どういうものかを説明していきます。
まずPoIについて。
NEMは承認方式にPoI(Proof of Importance)というアルゴリズムを採用しています。
PoIとはネットワークへの貢献度によって報酬が分配されるシステムです。
貢献度はNEMの保有量や取引量など複数の条件から判断されるため、決して保有量だけで決まる訳ではありません。
保有量だけに左右されないということは、必ずしも資金量が多ければ多いほど貢献度が高まる訳ではないということなので、有利不利の差はありますが一定の公平性があると言えます。加えて、ビットコインなどのPoWほど電力を必要としないため、エコなシステムとしても知られています。
前述の通り、このPoIの中で貢献度(=重要度)を上げることができたユーザーに報酬が配られます。この制度をハーベスト報酬制度と呼び、これはNEM独自の技術と言えます。
最後にアポスティーユ機能についてです。
これはブロックチェーン技術を活用した公証機能のことです。アポスティーユ機能を活用することで、土地や自動車の契約書など、公的なデータをブロックチェーン上に記録できます。
これにより、第三者を必要としない契約手続きが可能となります。加えて、不要な時間や費用がかからないためコスト削減にもつながります。
2020年、NEMに起きたこと
ここからは2020年に起きたNEM関連のニュースを紹介します。
- 2020年1月4日:大型アップデート「カタパルト」を「Symbol」に名称変更
- 2020年1月25日:ホテル予約サイト「Travala」がNEM決済に対応
- 2020年2月6日:Symbolが、2022年にカタールで開催されるワールドカップのホテル建設で実用されることが決定
- 2020年3月5日:NEM財団、NEM日本支部の強化へ
- 2020年7月17日:NEMやSymbol発展のためのコミュニティ「NEM HUB」をローンチ
- 2020年8月25日:Symbolのロードマップを更新
- 2020年9月9日:フォビジャパンがXLMとNEMのサポートを発表
NEMの運営は日本での活動にも力を入れていることから、これからの動きや発表には注目していきましょう。
続いて、2020年に話題に上がることが多い、Symbolの概要について解説します。
NEMのsymbol発表
SymbolとはNEMのプラットフォームの性能を向上させるアップデートのことを指します。
SymbolはNEMの機能を引き継いだ上で新しく生まれるチェーンとなっており、Symbolにおける通貨はXYMというものになります。
本来このSymbolは「カタパルト」という名前で2017年頃から予定されていました。しかし、相次ぐ延期の末に「Symbol」と名称を変えて、2020年12月にリリースが決まりました。
Symbolの具体的な日程は下記の通りです。
- 9月15日:オプトイン開始
- 12月3~16日:スナップショット予定(所有XEMと同数のXYMを配布予定)
- 12月17日:Symbolメインネットローンチ
新しい仮想通貨であるXYMを付与する予定の仮想通貨取引所はZaif、CoinCheck、GMOコイン、bitFlyerとなっています。
Symbolはすでに、2022年のカタールだ開催されるワールドカップのホテル建設で使用されることが決まっており、将来性も高いと言って良いでしょう。
Symbolの特徴
Symbolの特徴は下記の通りです。
- 処理速度がとにかく早い
- セキュリティーがより強固になる
① 処理速度がとにかく早い
Symbolが注目される理由として、処理速度の速さが挙げられます。1秒間に最大4000件のトランザクションを処理できると言われています。
今までの仮想通貨業界であれば、リップルが処理速度が速い仮想通貨として有名でした。そのリップルでさえ約1000~2000件と言われているため、かなり速いことがうかがえます。
処理速度が速いと取引の処理が進むため、遅延が起こりにくく決済手段としても利用されやすくなります。
② セキュリティーがより強固に
NEMはもともとセキュリティーが高い仮想通貨として知られていました。Symbolになると、さらに新しいシステムを導入してセキュリティレベルが上がります。
リトアニア銀行では「LBコイン」というCBDCが作られていますが、これはNEMのブロックチェーンを活用しています。Symbolがローンチすればそちらへの移行も考えていると伝わっています。
さらにはセキュリティトークンの発行や管理にもより強くなると言われています。
より安全に取引をしたい人はSymbolに注目しておくことがおすすめです。
▽CBDCについてはこちらの記事をチェック: CBDC(デジタル通貨)って何だろう?
今後のNEMについて
Symbolがリリースされますが、あくまでNEMとSymbolは別のチェーンであるため、NEMチェーンはこれから先も稼働します。
需要の低下が懸念されていますが、今後も価値を維持させるためにNEM財団で議論がされています。
むしろ、NEMとSymbolがお互い影響し合いながら価格変動が起きると言えます。そのため、Symbolアップデートによって、XEMの価格の上昇が期待されています。
結果的に2020年のXEMは上昇する可能性が高いかもしれません。できるだけ早めにXEMを保有しておき、Symbolの通貨であるXYMの付与を受けるというのもいいかもしれません。