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国内の仮想通貨上場の仕組みを探る

筆者: 児山 将

1月19日、コインチェックが新規取り扱いの仮想通貨(暗号資産) としてエンジンコイン(ENJ)を予定していると発表しました。ホワイトリスト入りすることとなりました。

この時に、なぜ今になってエンジンコインなのか?と疑問に思う人も多かったことでしょう。

エンジンコインといえば、2019年12月にマイクロソフトとの連携が報道されたことにより、大きく注目されました。しかし、その時から1年以上も経過しており仮想通貨投資家の中では「ブームの去ったアルトコイン」という認識をされていました。

なぜ、旬が過ぎているアルトコインばかりが取り扱いとなるのでしょうか?

この疑問に関して、ビットコイン、暗号通貨、ブロックチェーンに関する総合動画チャンネル『ビットコイナー反省会』を運営する東晃慈氏が配信を行っていました。

日本の仮想通貨上場の仕組み【中身のないコインばかり上場されてしまう理由】

※掲載許可をいただいております

要約すると、次のようになります。

・新規取り扱いの審査は、交換業者、協会ともに外注の場合がある
・審査構造的に、ブームが終わり当たり障りのないアルトコインが上場する傾向にある
・上場に際して利権がある可能性がある
・事業者協会及び金融庁は消費者保護を目指し仕組みを構築している

詳しくは、動画をご覧ください。

東晃慈氏の公式サイト

ビットコイナー反省会

この内容に関して、複数人の交換業者関係者及び審査に関わったことがある人物に取材を行いました。

国内の新規仮想通貨取り扱いの際の審査フローや、その実態をお伝えしたいと思います。

新規取り扱い仮想通貨の申請から承認までの流れ

まずは、交換業者が仮想通貨を取り扱う際の流れを紹介します。

1.交換業者が仮想通貨を選定
2.協会の審査書類に則り資料を作成
3.社内審査
4.協会審査
5.金融庁審査

1から3は交換業者内での作業のため、申請ルートは、交換業者→仮想通貨交換業協会→金融庁となります。

交換業者が仮想通貨を選定

ここは交換業者の自由度がある部分となります。

取材をさせていただいた業者の場合、一定の選定基準があり、それに則り選定していたそうです。

【ある交換業者の選定基準の一部】

  • 時価総額500億円
  • 1日の取引高が数十億円程度
  • バイナンスやフォビグローバルなどの大手交換業者に上場している
  • 時価総額ランキング100位以内

SBIVCトレードの場合、時価総額が5000億円以上の仮想通貨でないと取り扱わないとしていますが、この業者ではその10分の1となっています。

取引高は、取り扱った際の交換業者の収益を左右するため、重要な選定基準となるそうです。

みんなの仮想通貨では、時価総額1000億円程度の時からコスモス(ATOM)のページビューが非常に高かったのですが、このあたりが影響しているのかもしれません。

そして、過去にハッキングされたり、DeFi、DEX関連は法的に困難な部分も多いため、取り扱いが難しいそうです。

なお、コンサル企業を媒介して、あるいは海外のプロジェクトチームが直接売り込んでくることもあるそうです。

内部で協会の審査書類に則り作成

何百とある設問事項を埋めていく必要があるため、根気を擁する作業のようです。

ただし、ここは淡々とこなせば良いので大きな問題はないとのことです。

社内審査 

交換業者で仮想通貨を取り扱って良いのか最終的に審査を行います。

社内で経営的な判断を行うほか、協会への提出書類の確認を行います。これには2,3週間を要するそうです。そのため、外注(HashPort、Hashhubなど)を行う場合もあるそうです。

なお、外注の際の予算はホワイトリスト外では80万円程度。ホワイトリスト入りしている場合は20万円程度と工数に見合った予算で利用している業者も多いのではないか、ということでした。

協会審査

東氏の動画でもありましたが、ここが申請フローの中で一番のネックとなるそうです。

まず問題なのが、1年から1年半と非常に時間が掛かるということです。取材を行ったA氏は、6つの仮想通貨を申請したものの、1年経過してもひとつも承認が下りなかったと憤りをみせていました。

申請した後に何度か戻りがあるのですが、その際には「DPoSとは何ですか?」というような審査を行うような人間であれば当たり前に知っていたり、検索すれば出てくるような内容が質問として返ってくるとのことでした。

またホワイトリスト外の仮想通貨となると、コード審査が必要となるため少し時間を要するとのことです。

このことから、仮想通貨の審査は何も分かっていない人間が行っているか、外注を行っている可能性が高い、という見解を語ってくれました。

金融庁審査

協会から承認されると、金融庁へ審査を提出します。これはほぼ100%通り、1ヵ月以内で通達が行われるそうです。

そのため、交換業者は協会から承認を得られると取り扱い開始に向けて取引ツールやウォレットの作成、プレスリリースの準備を行うのだそうです。

そして、金融庁から承認されると、最短で翌週から取り扱い開始が行えるのだそうです。


以上が、新規取り扱い仮想通貨の申請の流れとなります。

審査に1年以上も掛かるというのはどう考えても納得がいかず、またブームが一巡した際に取り扱い開始となる場合のあるため投資家保護とは言えず、同時に海外交換業者の利用を後押ししているといわざるを得ません。


仮想通貨はまだまだ盛り上がりを見せているため、一刻も早くこの現状が改善されることを切に願うばかりです。

児山 将

児山 将

みんかぶ暗号資産(みんなの仮想通貨)プロデューサー 大学4年時にFXを始め、卒業後は飲食店の店長として勤務するも、相場に関りたくみんかぶに転職。記事執筆とサイトディレクションを担当。2015年より暗号資産(仮想通貨)に将来性を感じ、当時1円だったXRPに注目。暗号資産(仮想通貨)以外にも株式、FX、商品CFDなど多岐に渡る金融商品のコンテンツを作成。個人投資家との交流に注力しています

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