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ステーブルコインの期待と不安、テザーなど現状ステーブルは消滅の危機???

筆者: 鳳ナオミ

<解説及び着目点>

★週間マーケット概況★ 

2022年2月第1週(1/29~2/4)の暗号資産売買マーケットは、FOMCショックで揺れた株式など伝統的マーケットとの連動性は薄まりつつありますが、一方で材料難から膠着感が強まりました。
時価総額トップのビットコイン(ティッカー:BTC)は、じり高歩調となっていますが反発力に乏しく、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)を先導するには至っていないのが現状です。
エネルギー不足から上値追いの展開は想定しにくく、当面は下値固めを見極める局面と見られます

JDR.株式会社で算出しているJDR.Index(ジェーディーアールインデックス)は暗号資産マーケット全体を適切に観察できる指標です。
同指標の2月第1週のパフォーマンスは+3.4%の上昇、ビットコイン単独では+1.1%とほぼ横ばいとなっています。JDR.株式会社が個別で格付け(レーティング)している暗号資産(全35銘柄)では、イーサリアム(同ETH)が+12.1%の上昇、ディセントラランド(同:MANA)など一部が上昇した他、殆どの銘柄が直近安値近辺での値動きとなっています。

★クリプトフォーカス★ ~ステーブルコインを巡る動向~

《ステーブルコインを巡る最近のニュースフロー》

日付 内容
1月27日 日本円ステーブルコインJPYC、発行から1年で累計発行額5億円を突破
1月31日 日銀総裁、「デジタル円」発行の可否「26年までに判断」
→構想は22年後半に明確化
2月1日 米連邦準備制度理事会(FRB)、ステーブルコインに関する調査結果発表
2月2日 メタ、暗号資産「ディエム」終了、2億㌦で資産売却
2月3日 シルバーゲート銀行、「ディエム」の資産買収でステーブルコインを計画
2月15日 米上院によるステーブルコインに関する公聴会の開催
2月中 中国によるデジタル人民元発行(試験導入→本格導入か)

◉暗号資産の今後を決める「米大統領令」発表見通し
ステーブルコインの利用、活用の在り方が盛り込まれる可能性あり。

日付 内容
2月末 国内初のステーブルコイン「DAI」上場
2022年中 3メガバンクやファミリーマートなど74社で構成する「デジタル通貨フォーラム」がステーブルコイン「DCJPY」の実用化を計画


ステーブルコインとは、その名の通り、価格が安定した暗号資産を指し、通常はボラティリティの高い暗号資産の取引において、取引所内、取引所間、或いは様々な国をまたぐ国際間等の取引・送金においてブリッジ的(橋渡し)な役目を担った暗号資産です。
暗号資産の特徴である「既存の金融システムに依存しない」面を持つ意味で、ドルや円など法定通貨を介さずに暗号資産の売買取引が可能となっています。(暗号資産⇔ステーブルコイン⇔暗号資産)

ステーブルコインは大きくは二つに分類され、法定通貨などの資産が裏付け資産となる「担保型」と、裏付け資産のない「無担保型」に分かれます。
ドルに1:1で連動する担保型ステーブルコインであれば、そのステーブルコイン1単位と1ドルが、レート固定で交換ができる様に設計されています。
無担保型は、売りと買いのバランスを調整しながら価格が一定(ドル連動であればドル価格)に動く様に設計されている暗号資産です。


例えば、ドルでAという暗号資産を購入する場合、元金のドルでAを購入しますが、一旦ドルをドル連動のステーブルコインに交換し、そのステーブルコインでAを購入する流れと考えれば良いです。
一見無駄に見えますが、暗号資産AからBに乗り換える場合において、元のドルに交換してから購入すると、法定通貨交換手数料等のコストが上乗せされますし、他国の取引所での売買を目的に送金するのであれば、国際間送金手数料も更に上乗せされることになります。
そうしたコストの低減、手続きの簡素化(時間短縮)といった取引の流動性が確保されます。無担保型ステーブルコインは、資産をステーブルコインに交換しておくことで、高いボラティリティの暗号資産から一時的に回避できるという側面が強いです。


詳細はここでは割愛しますが、現状流通しているステーブルコインについて、流動性の観点から分析してみます。

主なドル連動ステーブルコイン

※時価総額順位は2月3日時点

分析の続きはこちら(~ステーブルコインの分析及び、来週の注目ポイント~)から

★暗号資産マーケットに関連する主要な出来事一覧表(対象期間:前週金曜午後~金曜日午前)

1月28日(土)~1月31日(月)

👉米アリゾナ州、ビットコイン法定通貨化の法案を提出

👉コインチェック、メタバース(仮想空間)で都市開発開始

👉メタ、ブラジルでビットコインと暗号資産事業の商標取得

👉ロシア、暗号資産規制のロードマップを作成

👉日銀総裁、デジタル通貨発行の可否「26年までに判断」

2月1日(火)

👉北京冬季オリンピックでのデジタル人民元展開が難航

👉タイ当局、暗号資産取引に対する15%源泉課税案を取り下げ

👉インターネットコンピュータ、BTCとETHの統合を年内に展開予定

👉アマゾン出店ブランドの買収企業、ビットコイン払いを導入

👉米財務省、暗号資産ウォレット規制案の検討再開

2月2日(水)

👉米上院、2月15日にステーブルコインに関する公聴会を開催

👉インド政府、2023年までに30%の暗号資産税、CBDCの導入も

👉露政府、ロシア人の暗号資産保有は23兆円規模と予測

👉過去30日で10億ドル相当のETHがバーン

👉BTCネットワーク取引高、アメックスを上回る

👉インド財務長官、「ビットコイン、イーサ、NFTは法定通貨になることはない」

👉メタ構想の暗号資産「ディエム」終了、2億㌦で売却

2月3日(木)

👉日本暗号資産取引業協会(JVCEA)、海外資本参入相次ぎ、暗号資産国内上場審査の簡略化検討 

👉FTXが日本市場に参入、暗号資産取引所リキッド買収

👉エルサルバドル、IMFの法定通貨からBTC削除要請を拒否

👉シルバーゲート銀行、ディエム資産買収でステーブルコイン計画

👉ジャマイカ中銀のCBDC、今後数ヶ月で全国展開

2月4日(金)

👉欧州中央銀行(ECB)金利据え置き、英中銀は0.5%に利上げ

👉ロシア財務大臣「銀行にも暗号資産取引を提供する認可を」

👉ロシア、2月11日までに暗号通貨の規制シナリオ起草か

👉米内国歳入庁(IRS)が税の返還承認か、ステーキング報酬課税焦点

👉株価急落のメタ、メタバース部門の損失は年間1兆円以上


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※本資料は、暗号資産の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関してはご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、筆者が各種メディア報道、事業会社アナウンス、要人発言などより抜粋し、作成しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
また、本資料に記載された意見や見通し等は、今後、予告なしに変更されることがあります。

鳳ナオミ

鳳ナオミ

大手証券アナリストとして10年以上経験後、リスクモデルを駆使する絶対収益追求型運用(プロップ)に従事、ボトムアップとトップダウンアプローチを得意とし年平均+15%以上のリターンを実現。その後オルタナティブ投資、ファンド組成、企業再生に取り組むなど多岐に渡る金融経験を持ち、現在はクリプトの世界に。日本初のデジタルマネー格付け及びインデックスを提供する「JDRpro.」の運用責任者も務める。

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