<解説及び着目点>

2022年2月第2週(2/5~2/10)の暗号資産売買マーケットは、全般的に上昇基調に転じ、特に、時価総額トップのビットコイン(ティッカー:BTC)の価格は、一時4万5000ドル超をつけ、年初以降の下落幅をほぼ帳消ししています。(2021年末は約4万6000ドル)。

ただ、他の多くの暗号資産も含め、欧米株式や日本株式など伝統的マーケットがいずれも年初の価格まで戻りきれていないこと、及びBTCドミナンス(市場占有率)が上昇基調を続けていることから、今回はBTC個別の要因が大きいのでは、と考えています。

ロシアなどビットコインに関する各国規制環境を巡るニュースフローはあるにせよ、価格の戻りピッチ、ボラティリティの急激な上昇を考慮すると、売り方(売り持ちポジション/ショート)の買戻し、ショートスクイーズ(いわゆる踏み上げ)を巻き込んだ需給要因が大きく作用したのではと推測されます。暗号資産の一部にはリターンリバーサル効果が見られたものもありましたが、いうなればBTCだけの動きが目立った週と言えます。

 

JDR.株式会社で算出しているJDR.Index(ジェーディーアールインデックス)は暗号資産マーケット全体を適切に観察できる指標です。同指標の2月第2週のパフォーマンスは+18.6%の上昇、ビットコイン単独では+17.1%と前週比で大きく上昇しています。

JDR.株式会社が個別で格付け(レーティング)している暗号資産(全35銘柄)では、米SECとの裁判で有利な情勢と伝えられたリップル(同XRP)が+41.2%と急激な上昇を演じた他、アップグレードが予定されているイーサリアムクラシック(同ETC)や、メタ関連のアクシーインフィニティ(同AXS)やディセントラランド(同MANA)などが大きく上昇しました。

クリプトフォーカス

~暗号資産、デジタルマネーの現状と課題、2022年の展望~

暗号資産を含めたデジタルマネーに関して、JDR.株式会社が想定する展望の一部を紹介します。

分析の続きはこちら(~来週の注目ポイント~から

暗号資産マーケットに関連する主要な出来事一覧表(対象期間:前週金曜午後~木曜日午前)

2月5日(土)~2月7日(月)

👉三井物産、金連動の暗号資産発行へ

👉米証券取引委員会(SEC)、グレイスケールのビットコインファンドのETF転換の決定を再び延期

👉ミャンマーの軍事政権、デジタル通貨の発行を検討

👉財務省、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入に向け、7月にも体制を強化

👉日本初の観光促進型地域デジタル通貨「ルーラコイン」がリリース

👉米マイクロストラテジー、更なるビットコイン買い増しを検討中

👉米コインベース、税金の還付を仮想通貨で受け取るサービスを発表

2月8日(火)

👉暗号資産ファンド、前週比4倍の流入超

👉KPMG(世界4大会計コンサルティング会社)、ビットコインとイーサリアムを購入、貸借対照表に計上

👉テスラ、BTC保有で115億円以上の損失

👉三菱UFJ信託銀行、ステーブルコイン型のデジタル通貨発行へ

👉英政府、中央銀行デジタル通貨プロジェクトに助成金付与

👉SECとの訴訟でリップル社に優位な判定

2月9日(水)

👉米連邦預金保険公社(FDIC)、今年の最優先課題は「暗号資産」

👉カザフスタン、暗号資産マイナーを対象とした電力価格引き上げ検討

👉ベネズエラ、暗号資産取引に最大20%の課税を行う法案を承認

👉シンガポールの暗号資産関連投資、2021年は13倍に急増

👉公正なデジタル資産市場を目指す組織が米国で発足、暗号資産取引所などが参加

2月10日(木)

👉ロシア政府及び中央銀行、暗号資産をデジタル金融資産ではなく「通貨の類似物」として定義

👉米議会のステーブルコイン公聴会、米財務省の規制案に反対姿勢

👉米ブラックロック、仮想通貨取引サービスを計画

👉カナダ金融大手TMXグループ、ビットコイン先物取引を年内ローンチ予定


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