暗号資産(仮想通貨)はボラティリティ(価格変動幅)の大きさゆえに、値上がり益に期待する投資家が大半です。それが過熱するあまり、話題性が先行して値上がり益だけを狙う投資家が殺到するような暗号資産も続々登場し、ブーム化してしまっている部分があります。
しかし、暗号資産で利益を上げる方法はそれだけではありません。すでに当コラムではファイルコインやUniswapのイールドファーミング、Compoundの暗号資産レンディングなどについて解説していますが、今回はさらにもうひとつの暗号資産インカムゲイン、ステーキングについて解説します。
ステーキングとは?
ステーキングとは、特定の暗号資産を保有することでその暗号資産のブロックチェーンのネットワークに参加し、そこから対価を得る投資のことです。「ブロックチェーンのネットワークに参加」と表現すると特別なことをやっているように感じるかもしれませんが、単に対象となる暗号資産を持っているだけでネットワークに参加したことになります。
つまり、ステーキングは買って持っておくだけという究極的にシンプルな行動だけで報酬がもらえる、暗号資産投資の中でも最も難易度が低い投資と定義することができます。
ステーキングに利用できる暗号資産
ステーキングに利用できる暗号資産は、とてもたくさんあります。ステーキングは暗号資産取引所が提供しているサービスなので、暗号資産取引所にどんな暗号資産のステーキングがあるかによってラインナップが決まります。
国内ではbitFlyerやGMOコイン、コインチェックといった取引所がステーキングのサービスを提供しています。bitFlyerとコインチェックではLisk、GMOコインではテゾスとシンボルの取り扱いがあります。
ただし、2022年3月時点でbitFlyerとコインチェックはステーキングの一時停止をしており、再開がいつになるかはアナウンスされていません。残るGMOコインではテゾスとシンボルのステーキングが可能です(2022年3月時点)。
海外の取引所にはこれをはるかにしのぐステーキングのラインナップがあります。
ステーキングで期待できる利回り
国内の取引所ではGMOコインが唯一のステーキングの選択肢となるわけですが(2022年3月時点)、GMOコインでステーキングをした場合の利回りはおおむね以下のとおりです。
テゾス(XTZ) ⇒ 2.1%~4.3%
シンボル(XYM) ⇒ 3.2%~4.5%
どちらも超低金利時代において、決して悪くない年利です。海外の取引所にはこれを大きく上回る数十%といった年利が得られるようなステーキングもありますが、海外の取引所はセキュリティ面や投資家保護の観点から推奨できないので、ここでは敢えて紹介しません。
ステーキングを始める方法
ステーキングは最も簡単な方法と述べました。本当にとても簡単で、ステーキングに対応している取引所で対象となる暗号資産を購入し、ただ持っておくだけです。
ステーキング口座という特別な口座があってそこに預け入れるといったことも必要なく、口座の中に保有しておくだけでOKです。イメージとしては銀行の普通預金口座に入れたままにしておくのと同じです。それだけで上記のような利回りになりますし、もちろん普通口座のようなものなのでいつでも口座内の暗号資産を売ったり移動させても構いません。
ステーキングで知っておくべきリスク
最後に、ステーキングを始めるうえで知っておくべきリスクについても言及しておきましょう。
ステーキングは利回りこそ実質的に保障されているので対象となる暗号資産が増えることはほぼ間違いないのですが、その暗号資産の価値が下がってしまうと実質的に資産を目減りさせてしまうことがあります。ご存じのとおり値動きの荒さが暗号資産の一種の「売り」のようなものなので、ちょっとしたニュースなどで大きく値を下げてしまい、せっかく暗号資産は増えても儲かっていないという状況はあり得ます。
もちろんそのまま持っておけば引き続き金利が付くので、値下がりしてしまったらそのまま持っておいて値上がりするのを待つのもひとつの手です。
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