前編に続いて、マイニング収入と税金の関係について解説します。前編では税金との関わりについて基礎的な知識を解説しましたが、後編では多くの方が薄々感じている疑問にお答えします。
その疑問とは、「収入といっても仮想通貨(暗号資産)なので税務署にばれないのでは?」というものです。事実、ネット上にはそれに関連する記事がありますし、検索をすると「マイニング 収入」の次に「ばれない」というキーワードが表示されるので、それだけ多くの人が薄々疑問に思っていることなのでしょう。
そこで後編では、マイニング収入が年間で20万円以上あっても放置していたら、果たしてばれないのか、そしてばれた場合のペナルティはどんなものなのか、について解説します。
結論:マイニング収入を隠してもいつかはばれる
最初に、結論から述べておきます。マイニングで収入が発生し、納税義務が生じる金額であり確定申告をせずダンマリを決め込んだ場合、それは早晩ばれます。
秘匿性の高い暗号資産なのに、なぜばれるのでしょうか。そのメカニズムは以下のとおりです。
仮想通貨は確かに秘匿性が高く、モネロのように匿名性の高さを売りにしている仮想通貨もあるほどなので、日本の税務当局が簡単にマイニング収入があることを直ちに突き止めることはできません。
しかし、仮想通貨でマイニングの報酬を受け取ったとしてもそれを必ず日本円などの法定通貨に両替する時がきます。なぜなら多くの場合、仮想通貨のまま持っていても使うところがあまりないからです。メタバースやゲーム内の基軸通貨として流通している仮想通貨をマイニングで稼ぎ、そのままネット空間で使用した場合は発覚しにくいかもしれません。しかし、これは使い方として一部にすぎません。
やはり多くの場合は日本円などに両替をするため、その時に取引の記録が取引所に残ることで、後からさかのぼってばれることになります。納税義務がある収入があるのにそれを放置していると、重加算税や延滞税などのペナルティーを受けることになります。
ただし、仮想通貨の場合はまだまだ法整備が追いついていない部分もあるため、取り扱いについて解釈が分かれる部分もあります。そんな部分については争いの余地があるので、どうしても納得がいかない場合は仮想通貨 などデジタル資産に強い税理士に相談してみるのも良いでしょう。
そもそも暗号資産の収入は税務署から目をつけられている
収入があるのにそれを隠している人は、仮想通貨の世界以外にもたくさんいます。今もこの空の下のどこかで儲けたお金を隠して税金から逃れようとしている人はいることでしょう。
そんな人たちの中には長年ばれずにいる人もいるのに、仮想通貨は特にばれやすいと感じている人は多いのではないでしょうか。そこには、税務当局の方針による理由があります。
2020年頃から、日本の税務当局は仮想通貨による利益に目を光らせています。短期間で大きな利益を上げている人が続出しているため課税額が大きくなることや、今このタイミングでしっかりと課税しておかないと後からでは追及するのが難しくなるといった思惑もあるでしょう。
2020年にはADAという仮想通貨で利益を上げた人を狙い撃ちにした、大規模な税務調査がありました。やはり上場から価格が50倍以上に跳ね上がっただけに、短期間で大儲けをした人がいるはずだという目算で調査をしたら、その網に引っかかる人が続出したものと思われます。
同様の傾向は代表的な仮想通貨であるビットコインやイーサリアムでも起きています。今後は、これらの主要な仮想通貨以外でも短期間で価格が急騰するなど目立つ動きをするかもしれません。仮想通貨のマイニングを行っている人は、利益に対する税金の手続きを滞りなくやっておきましょう。