国内では、SBIグループの100%子会社であるSBIバーチャルカレンシーズが運営する仮想通貨取引所のサービスが2018/6/4より開始されました。
当初発表された取扱通貨がリップル社の発行通貨XRPのみということでも注目度がさらに高まった、時価総額第3位のアルトコイン「XRP」についてお伝えします。
今回は、第1回として「IOUとゲートウェイ」についてご説明します。
以前、「リップルコインとは? -誕生と歴史について徹底解説-」、「仮想通貨のリップル(XRP)が持つ注目の機能とは? -リップルネットワークの可能性-」
でご紹介したリップル社のシステムには改良が加わっています。
リップル社は、ブロックチェーン技術を利用して、国際送金ネットワークの構築を行っており、
実装されれば、国際送金にかかる時間及びコストにおいて効率化が図られます。
当然に、同社の主要顧客は決済取引を生業としている金融機関等となるため、金融機関等のニーズを満たす必要がありました。
今回は、システム変更の経緯とポイントをお伝えしたいと思います。
従前の枠組み
InterLeger Protocol(ILP/分散台帳)が開発される以前、リップルネットワーク(現在でいう「RippleNet」)は、
①RippleNetを利用するユーザーと、②資産価値を保有・管理する「ゲートウェイ」で構成され、
ゲートウェイがそれぞれ発行する「IOU」を利用して決済することで、決済の効率化が図れるというものでした。
具体的にいうと、ユーザーはまず信用するゲートウェイに資金を預け、預けた証明としてIOU(現在は「Issuance」に改名されております。)の発行を受け、
そのIOUを送金したい相手に送るという流れでした。
但し、IOUの受取側も同じゲートウェイとの間でトラストライン(ゲートウェイを銀行と考えた場合、
トラストラインは口座開設のようなイメージ)
を引いていなければ、当該IOUを換金することができない仕組みとなっており、
これを回避する手段として、IOUをネイティブコインであるXRPに交換する方法がとられていました。
保有するIOUをXRPに交換することで、ゲートウェイを介さずとも、決済したい当事者間でシームレスな決済取引が行え、
ゲートウェイの信用リスクを懸念する必要がないというコンセプトです。
蛇足ですが、IOUに交換された時点で、RippleNetに繋がることから、オンレッジャ/オンレジャー(On-Ledger)取引と呼ばれています。
反対に他の仮想通貨取引所で法定通貨からXRPを購入する取引等は、オフレッジャ/オフレジャー(Off-Ledger)取引と呼ばれています。
IOUを利用した決済取引は、画期的であると金融機関等から高い評価を受けたものの、いくつか問題点が指摘されました。
問題点
まず挙げられたのが、RippleNetというオープンな台帳での取引を行わなければならないため、
送金情報の可視化が銀行のコンプライアンスに抵触するというものでした。
さらに、各金融機関の台帳(取引記録データとイメージしてください)と、
RippleNetとの間にゲートウェイを介さなければ繋がらないことや、XRPの保有・利用が求められること、
IOUの送金過程におけるセキュリティー面への懸念等がありました。
過去に、ゲートウェイによる不正リスクが実際に発生したこともあります。
そこでリップル社は新たなプロトコルであるILPを開発し、「ゲートウェイ」や「IOU」を必要としないXRP Ledgerを構築し、従来の問題点を解決しました。
つまりは、他の仮想通貨取引所で、XRPを購入しこれをRippleNet上でXRPを移動することで
決済を行うオフレッジャ取引に変更したということになります。
但し、推奨はされていませんが、ゲートウェイを作り発行されたIOUをXRPに交換することも引き続き可能となっており、
将来的にこの枠組みが上手に活用されることにも期待が寄せられています。
次回は、現在のILPベースの取引(オフレッジャ取引)についてまとめていきたいと思います。
(アルトデザイン株式会社 葵)
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ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供
※本記事の意見や予測は、筆者の個人的な見解であり、金融商品の売買を推奨を行うものではありません。
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