リップルとは、米リップル社が手掛ける国際送金プラットフォームのプロジェクトで、同社が発行する仮想通貨XRPは日本でも広く知られています。
プロジェクトの一つであるリップルネットでは、これまでに有名企業を含む200社ほどの企業と提携を結んでおり、システムの本格的な始動が期待されています。
対して、SWIFTは現状の国際送金システムであり、中継地点となる各国のコルレス銀行にメッセージを送ることによって国際送金を成り立たせています。
そして、SWIFTも現状の国際送金のデメリットを解決し、より優れたサービスを提供するためにマイクロソフトと提携を結んだうえで、ブロックチェーン技術の採用を発表しました。
では、リップルとSWIFTの送金スピードなどに焦点を当てながら、国際送金がどのような展開になっていくのか考察してみましょう。
リップルとSWIFTの対比
現状、リップルとSWIFTをコストやスピード面で比較すると、明らかにリップルが優位と言えます。
まず、スピード面に焦点を当てた場合、リップルの送金処理能力は1秒間で1500件、実際に送金した際のデータは1件に3秒もあれば送金が可能です。リップルの決済能力は、仮想通貨の中でも特に優れており、金融機関での使用にも十分耐えうる能力を有していると言えるでしょう。
出所:Twitter
対して、SWIFTの場合は、国際送金であれば各銀行に指示を送ったうえでコルレス銀行を経由するため、2~4日ほどの時間を要します。
次に、送金手数料について比較してみましょう。リップルの送金手数料は基準では1ドル以下の0.0004ドルであり、56億円の送金でも手数料が34円ほどに抑えられたという実例があります。
対して、SWIFTの送金手数料は、2000円~6000円と幅があります。送金先によって、経由しなければならない金融機関が決まっており、経由すればするほど送金手数料は高くなっていきます。
リップル |
SWIFT |
|
送金速度 |
数秒 |
2~3日 |
送金手数料 |
0.0004ドル~ |
約18ドル~ |
SWIFTとマイクロソフトの提携について
SWIFTがマイクロソフトとの提携で取り組むのは、ブロックチェーン技術を使用した新たなプラットフォームの作成です。新しく作成されるプラットフォームは、マイクロソフトアジュール上で動作し、SWIFTの決済システムを統合する予定となっています。
SWIFTの新しいプラットフォームは、リップルやStellarと競合する可能性が高く、金融機関と仮想通貨市場のシェア争いが激化すると予想されます。SWIFTは、既に1万以上の金融機関と提携していることから、プラットフォームを早めに実装出来れば、リップルに十分に対抗できるものとなるでしょう。
もっとも、国際送金に関連するプラットフォームが増加すればするほど、最終的にはユーザーである金融機関が使い分けを行い、それぞれが特化したサービスを展開していく可能性もあります。そのため、それぞれの国際送金プラットフォームだけでなく、金融機関がどのような選択を行うかにも注目していく必要があると言えます。
Twitter:千歳悠@ライター@chitose_haruka
※本記事の意見や予測は、筆者の個人的な見解であり、金融商品の売買を推奨を行うものではありません。
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