日本IBMは、ブロックチェーン技術を用いて、医療・製薬業界におけるデータ交換プラットフォーム構築を推進するため、製薬企業や医療団体など20の企業や団体と連携して、2019年中に実証実験を実施することを目指す。
実証実験によってビジネスモデル構築へ
医療・製薬業界分野のブロックチェーン活用は昨今注目を集めている。
特に医療関連データ管理におけるセキュリティー向上や医薬品のサプライチェーン、電子カルテや診断データなどの医療情報の管理といった分野で実用レベルのシステム構築が期待されている。
日本IBMはが構築するデータ交換プラットフォームによって、信頼性の高いデータに対して素早く安全にアクセスすることができ、個々の患者の利便性の大幅な向上、偽造医薬品の低減、より効果的な研究開発の促進、新たなビジネスモデルの推進が可能になるとしている。
各分野におけるブロックチェーンの活用は国内外で活発に実証実験が実施されているものの、初期段階的な実験が多くを占めている。
今回の取り組みで日本IBMは製薬企業や医療団体などとブロックチェーン技術を医療・製薬業界の情報交換の仕組みとして活用することを検討し、具体的に課題の解決や新たなビジネスモデルを構築することを目指す。
参加企業・団体
参加する企業や団体は以下の通り。(五十音順)
参加企業
- アステラス製薬株式会社
- 協和発酵キリン株式会社
- グラクソ・スミスクライン株式会社
- 塩野義製薬株式会社
- 第一三共株式会社
- 大日本住友製薬株式会社
- 武田薬品工業株式会社 湘南ヘルスイノベーションパーク
- 田辺三菱製薬株式会社
- 中外製薬株式会社
- ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
- 他7社
参加団体
- 一般社団法人ITヘルスケア学会 医療ブロックチェーン研究会
- 独立行政法人国立病院機構京都医療センター
- 他1団体
オブザーバ
- 神奈川県
欧米との遅れを取り戻す
日本では医療分野でのブロックチェーンの実用化が急がれている。
一般社団法人ITヘルスケア学会医療ブロックチェーン研究会会長の水島洋氏は欧米やアジア諸国との差について以下のように懸念を抱いている。
「健康医療領域はブロックチェーン技術の活用が大きく期待されている分野であり、欧米のみならずアジアや発展途上国を含んだ世界中で検討が活発化しています。日本ではその導入が遅れをとっていたものの、今般このような会ができることを大変喜ばしく思います。個人の健康医療情報の活用や医薬品の安全性のためにも、製薬産業横断的な仕組みが構築されることを願っております。」
また、中外製薬の科学技術情報部長石井暢也氏も同様に欧米のブロックチェーンの実証実験の進捗に注目しており、「欧米では、医療関連のデータを安全に管理するため、クローズドの環境にあるブロックチェーン技術の実証実験がすでに始まっています。国内でも、製薬企業を中心とする協議を開始し、その枠組みの下で新たなビジネスモデルが構築されることを期待しています。」と、今回の枠組みに期待を寄せている。
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