ブロックチェーンは、従来の中央集権型のサーバーを必要としない分散型ネットワークです。既存のシステムに対して、データのセキュリティーの高さやコスト削減などにおいて優位性があると評価されています。
では、具体的にどのような分野や企業でブロックチェーンは活用されているのでしょうか。ここでは、ブロックチェーンの活用事例をみていきます。
ウォルマート
ウォルマートは、米国最大の小売業者で、2018年に既にブロックチェーン技術を使用して食品の衛生管理を行う取り組みを始めています。IBMと提携し、ブロックチェーン管理により食品がどのようなルートをたどって店舗に到着したのか追跡することが可能です。
参考:ウォルマート、IBMのブロックチェーン技術を食品トレーサビリティに活用へ
最新の取り組みでは、IBM、KPMG、Merckと協力し米食品医薬品局と提携し、医薬品のサプライチェーンの構築を行っています。ブロックチェーンを導入することによって、在庫の追跡が容易になり、薬の供給の偏りをなくすことも可能となるでしょう。
サプライチェーンのブロックチェーンによる管理は、次第に一般的になる可能性が高いと予想できます。
デンソー
デンソーは自動車部品で国内最大のトヨタ系企業です。同社が取り組んでいるプロジェクトは、ブロックチェーンで自動運転車のセキュリティーを向上させるというものです。
例えば、IoTが進めばサイバー攻撃やウィルスの感染によって個人情報が盗まれる可能性が高まるだけではなく、人工知能の判断に狂いが生じ重大な事故などが起きることもあり得ます。そうしたセキュリティー問題を、ブロックチェーンの利用によって改ざん不可能なデータとすることが可能となります。
また運転のデータを守るだけでなく、車体の部品などの記録や走行履歴まで記録することを目指しています。こうすれば、中古車も安心して購入できるでしょう。
医療業界におけるブロックチェーンの活用例
医療業界でもブロックチェーンの活用事例は増加しつつあります。
例えば、韓国のブロックチェーンスタートアップ企業BICubeは、機密データの共有を行うプラットフォームの製作に取り組んでいます。
これが成功した場合、患者の情報(カルテ)をブロックチェーンに記録できるため、容易なアクセスと共有が可能となるでしょう。また、アレルギーの有無や薬に対する副作用など個人の詳細なデータを共有することができるため、患者にとっては病院を変える度に検査を行う必要がないという大きなメリットがあります。
医療×ブロックチェーンというテーマは世界的に研究がされており、エストニアではブロックチェーン技術を用いて医療データを記録。全ての医療データの95%が電子化されており、電子化率は、医療費請求では100%、処方箋では99%に達しており、日本との差は歴然としています。
参考:医療のブロックチェーン革命で、ここまで出来るようになる
このようにブロックチェーンの活用事例は増加し続けており、既に社会インフラの一部となっています。
既存のシステムでは不可能だった情報の共有やコストの削減を可能としており、今後は従来では電子化が難しかった登記情報の保存などに関しても、ブロックチェーンが解決できる可能性があるでしょう。