ひろぴー取材

2019年10月31日、ブロックチェーンテクノロジー企業であるビットフューリーが、日本代表に紺野勝弥氏が就任したと発表しました。 紺野氏は仮想通貨交換業者であるQUOINEの代表取締役であり、仮想通貨業界の大波乱を経験してきた人物。現在は、ビットフューリー日本代表やQUOINE社、フィンテック企業などでアドバイザーとして活動しています。

 

そんな紺野氏に、投資家であり金融取引ソリューション企業の代表・CXRエンジニアリング代表のひろぴーが取材を行いました!取引所や業界の他では聞くことのできない話を聞いてみたいと思います。

仮想通貨交換業者の話

紺野氏とパシャリ!QUOINE時代からの付き合いです

ー最初にQUOINEでのお話を聞かせてください。

紺野:コインチェックの事件により、潮目が大きく変わってしまいました。それまでは業界の発展に協力的だった当局も規制が厳しくなり、その対応などが非常に多くなりました。それまでの状況と180度変わってしまったと言えます。

2018年4、5月に金融庁の検査があり、14-5名ぐらいの検査官が来ました。日本だけでなく、開発拠点のベトナムに来ていました。

調査内容としては、カバナンス全般、AML対応クラウド、ITシステムやセキュリティーなど多方面にわたって調査されました。金融庁のシステム担当者はFXに関しては分かるので、それに沿って調査しているという印象でした。

また、金融庁はAML/CFTと、あとはガバナンス(経営態勢)を非常に重要視してきていた印象です。

ひろぴー:最近はシンプレクスのシステムでないと認可を受けられないと聞きますね。調査する方も大変だと思いますが、それも取引インフラの発展を妨げますね。例えば、某社は取引サービスもないまま認可が下りましたが、一体何を基準に認可が下りたのか謎でしかないですね。

業務改善命令中の運用に関して

ーー業務改善期間中の運営は大変だと思いますが、どういった縛りがありますか?

ユーザーの新規登録や広告はできるけれども、新しいサービスのリリースはNG。もちろん、新規仮想通貨の取り扱いはできないですね。不思議だったのは、販売所サービスをリリースしようとしたことがNGだったことですね。取り扱っている仮想通貨は同じなのですが。

また、収益性を上げる必要があるにも関わらず、新規サービスは行えずにユーザーの積極的な獲得もできず、またコンプライアンス担当者も急激に増やす必要があり、会社の文化が合わずに銀行っぽくなってしまうなど、スタートアップにとってはかなり苦しい変化もありました。

規制に関して厳しかったのはレバレッジが4倍になったことですね。これは大きな収益減となってしまいました。ちなみに、4倍というのはFXのリスク計算の指標と照らし合わせてビットコインのボラティリティで計算し決定されています。でも、過去3年間のボラティリティを見ると、最大でも2017年12月の60%程度なのです。市場規模が仮想通貨よりも遥かに大きい日経平均やS&P500の最大のボラティリティが30-35%程度ですから、本当にボラティリティが高いと言い切っていいのかは疑問です。

ただ、今後はレバレッジ倍率が2倍になる流れですから、そうなるとさらに事業者にとっては厳しい展開になっていくでしょうね。

ーー2019年の仮想通貨市況はどうでしたか?

紺野:値動きがあった割に盛り上がりに欠けた1年でした。レバレッジを引き下げて以降、取引高が非常に減少してしまいました。これは、ユーザーの離脱が大きく関係しており、感覚値もありますが、Liquidのユーザーの8割は海外取引所へ移行したのではないでしょうか。

ユーザーとの座談会を行った際も、10人中8人がバイナンスの口座を持ち、5人がメイン口座はBitMEXだという状況が分かりました。

ただ、コインチェックがステラルーメン(XLM)の取り扱いを開始したり、LISKのステーキングサービスを開始できたことは、日本の取引所にとって明るいニュースですね。レバレッジ取引だけが全てではなく、仮想通貨の現物を使って新たな価値を提供することは各取引所が今後考えていくべき新たな事業戦略になりますね。

ビットフューリー(Birfury)について

ビットフューリー日本代表 紺野勝弥氏

ーー現在、ビットフューリーの日本代表となっております。これはどういった経緯があったのでしょうか。

紺野:3年前に仮想通貨業界に入ったときに、最初に会ったのがビットフューリーの関係者でした。そのため、QUOINEを辞めることを決めた後に連絡してビットフューリーに招いてもらえました。QUOINEも現在はアドアバイザーとしてサポートしており、良好な関係を維持しています。

ビットフューリーでの活動としては、弊社が開発しているマイニング機器の販売とその機器の運用委託を受けています。現在、グローバルで400メガワットでマイニングファームを運営しているのですが、新たにカザフスタンでマイニングファームを建設しており、そこで運用するためのマイニング機器を販売しています。

カザフスタンは電気代が非常に安く、マイニング投資の損益分岐点も2018年のビットコイン価格の底値でも利益が出るものです。これは電気代の圧倒的な安さに加え、弊社のマイニング機器の耐用年数が長く、アップグレードの際もチップだけ交換すれば良いというコストの安さにあります。政治的にも、当局としっかりネゴシエーションをとっておりますので問題ありません。

他には、独自ブロックチェーンの「Exonum」をを開発しているので、主に省庁や大企業に向けてブロックチェーンを活用したソリューションの提案をしています。例えば、ジョージア政府と組んで土地の登記をブロックチェーンで行ったり、欧州で楽曲の著作権管理と楽曲配信のプラットフォーム「Surround」を提供しているので、そういった最先端の取り組みを日本でも展開したいと考えています。将来的には、紙ベースで管理されているモノの多く、例えば個人情報もブロックチェーンで管理されるようになるのではないかと感じています。

ビットフューリーについて

世界有数の包括的なブロックチェーン技術サービスを提供するビットフューリー・グループ(Bitfury Group)は、極めて重要性の高いテクノロジーを駆使し、将来のためのソリューションを構築しています。2011年に設立した当社の使命はハードウェアやセキュリティー、ソフトウェアなどのあらゆる段階でイノベーションを発揮し、透明性と信頼性を向上させることです。ビットフューリーは、人工知能(AI)やブロックチェーン技術、デジタル通貨への取り組みを強化しています。また、ビットコインブロックチェーン向けのセキュリティー・インフラプロバイダーのトップ企業です。ビットコインブロックチェーンのほか、カスタム可能な半導体チップやモバイルデータセンターなど仮想通貨やブロックチェーンのセキュリティーを担保する革新的なハードウェアを設計・生産しています。

公式サイト:https://bitfury.com/jp

中国について

ひろぴー:フェイスブック中国ができれば、リブラ(Libra)は認められますよね。例えば、深センだとエンジニアの所得税は15%に引き下げられます。年収2000万円以上あるような技術者は、こういうところのフィンテック企業に引き抜かれることが多いようです。中国のハイレベルな技術者と仕事をしながら、良い企業で働けるのは素晴らしいですよね。深センは香港から船で30分と近いですし、温かくて気候も良いんですよ(笑)

紺野:リブラは打ち出し方を間違ったのではないでしょうか。最初はフェイスブック内で使えるポイント程度にしておけば、広まっていたんではないかと思います。その後しっかりと広まった後に、本来の目的に移行すれば止められなかったと思うのですが、、最初からVISAやMASTERなどの大企業と組んで大々的にやってしまったので、直ぐに目を付けられてしまったのではないかなと感じています。

ビットコインの半減期について

ーー2020年5月11日前後に、4年に一度のビットコインの半減期が到来します。価格やマイニング動向に関してどう思われますか?

紺野:これまでのビットコイン価格の動向を見ていくと、半減期後は価格が上昇しています。それでも、価格が想定よりも上がらない場合には、損益分岐点を下回るマイナーも出てきて、ハッシュレートも若干下落するのではないかと思います。損益分岐点が低い当社にとっては非常にチャンスと捉えています。

出所:Bloomberg

ひろぴー:ビットコインの半減期は、1年から1年半でボトムをつける傾向がある。2019年は2月半ばに底打ちしているため、これまでのシナリオ通りの値動きとなっていますよね。

ただ、マイニング業者は半減期によって、今後淘汰されることは間違いないでしょう。日本ではもちろんペイできなくなるでしょうね。

今後のホワイトリスト入り仮想通貨は

ひろぴー:オントロジー(ONT)とHuobi(HT)が期待しています。もしHuobiが中国で最初の交換業者の認可を取ることができれば、強烈に上昇するのではないでしょうか。また、流動性を考えると、トロン(TRON)。コインベースで取り扱っている0x(ZRX)も期待しています。

レバレッジ引き下げは厳しいですが、取り扱い仮想通貨が増えることで日本だけでなく、仮想通貨業界全体が盛り上がると良いですね。