何十種類もあるテクニカル指標のなかで、ボリンジャーバンドは日本の投資家に人気があります。ボリンジャーバンドとは、高い確率でバンドの中に価格が収まることを前提に考えるテクニカル指標です。
1980年代に米国人のジョン・ボリンジャー氏が考案したことからつけられました。
この記事では、ボリンジャーバンドの基本から分析方法について解説します。
ボリンジャーバンドの基本
ボリンジャーバンドは、移動平均線と、統計学で使用される標準偏差のバンドを取り入れたトレンド系のテクニカル指標です。標準偏差とは、データのばらつきの大きさを表わす指標です。過去一定期間の数値変動が大きいか小さいかを可視化します。
標準偏差は大学受験の際に用いた偏差値を考えれば分かりやすいでしょう。
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心線(または基準線)、バンドの部分が±1~3σのふたつで構成されています。
移動平均線は20日か21日に設定されることがほとんどです。
ボリンジャーバンドには基本的に1~3σまでのバンドがありますが、その範囲内でチャートが収まる確率が統計的に決まっています。
1σ:68.3%
2σ:95.5%
3σ:99.7%
※σはシグマと読みます。
値動きは、基本的に3σのバンドの範囲内には収まることになります。逆に見ると、1000本のローソク足があれば、30回はバンドの外で推移することになります。
ボリンジャーバンドの見方
では、ボリンジャーバンドを見ていくにはどのような点に気をつければ良いのでしょうか?
ボリンジャーバンドを使用する多くの理由として、ボラティリティの計測があります。ボラティリティとは、一定期間にどれだけ価格の値動きがあったかを示す用語です。
ボリンジャーバンドの形を見れば、おおよそのボラティリティがわかります。
ボリンジャーバンドの3つの形
ボリンジャーバンドには、3つの形があります。
- ・スクイーズ:バンドが収縮しているとき
- ・エクスパンション:バンドが拡張しているとき
- ・バンドウォーク:バンドが拡張を続けているとき
スクイーズ
バンド幅がスクイーズしているときは、トレンドがなく調整期間またはレンジ相場の時にこのような形になります。
エクスパンション
値動きに変化があり、スクイーズしていたボリンジャーバンドが拡張します。トレンド転換からトレンド形成時に現れます。
バンドウォーク
強いトレンドが発生している時に起こるパターンで、ボリンジャーバンドの±2σまたは±3σラインにローソク足が沿って動くことを指します。
ボリンジャーバンドの使い方
ボリンジャーバンドからは順張りと逆張りの合図を汲み取ることが可能です。価格変動の大半がバンドのなかで収まるとされていることから、逆張り指標として使うトレーダーが多いとされています。
しかし、生みの親であるジョン・ボリンジャー氏は順張り指標として活用することを推奨しています。バンド幅の外側に終値が位置していることがトレンド発生の合図であるとしており、ここから順張り指標を導くべきだとしています。
もちろん、逆張り指標としても順張り指標としても活用できます。
逆張り指標として活用する場合
±1σ~±3σの範囲を下値支持線や上値抵抗線と考え、価格が-1σ~-3σにきた場合には買いポイント、逆に+1σ~+3σにきた場合にはに売りポイントとなります。
順張り指標として活用する場合
保合い相場から上下のどちらかに抜けたタイミングでのエントリーが基本です。相場の変動が小さくなり、バンドの幅が狭くなって、終値が-2σを超えたら売り時であり、逆に+2σを超えたら買い時になります。
まとめ
今回は、ボリンジャーバンドについて解説しました。
統計学に基づいた合理的な指標であり、多くの人がテクニカル分析に利用しています。レンジ相場でも、トレンド相場でも活用できるテクニカル指標ですので、基本的な知識と分析方法は押さえておきましょう。