イーサリアムは、何度もアップデートを行いながら完成を目指しています。
4段階あるアップデートもいよいよ最終段階に差し掛かっており、ようやく年内に完成するかどうかという状況となっています。
今回は、そんなイーサリアムの最後のアップデートである「セレニティ」に関して解説します。
そもそもハードフォークとは
ハードフォークとは、仮想通貨(暗号資産)の機能を改善または向上させるためのブロックチェーンのアップデートを指します。仮想通貨において、取引を承認するためのルールを変更する際はアップデートを実施します。ハードフォークのタイミングで古い承認ルールが存在するブロックチェーンと新しいルールでの運用が続くブロックチェーンに分かれます。
これによって、仮想通貨が分裂を起こして新しい仮想通貨が生まれる場合があります。イーサリアムも2016年の7月に分裂を起こして、「イーサリアムクラシック」という仮想通貨が誕生しました。このハードフォークはイーサリアムがハッキング被害にあったことがきっかけで行われた少し特殊な形ではありますが、結果的にセキュリティーの改善を行うアップデートが施されました。他にもビットコインがハードフォークを行なった結果、ビットコインキャッシュという仮想通貨が誕生したという経緯もあります。
ハードフォークによって分かれたブロックチェーンは永続的に分裂しているため、再び交わることはありません。ハードフォークは、基本的に事前に告知されることがほとんどです。
ハードフォークに向けて準備しておくこととしては、以下の2点です。
- 情報収集を行うこと
- 取引における取引や送金停止について注意すること
まずは仮想通貨関連のニュースサイトや取引所が発表しているリリース情報を細かくチェックしておきましょう。ブロックチェーンの公式ツイッターでも確認できますが、ほとんどが英語のため取引所のお知らせを確認することが一番分かりやすいと思います。
賛否両論ありますが、分裂前の仮想通貨を取引所で所有しておくことで、新しい仮想通貨が付与される可能性があります。
また、ハードフォークのタイミングで取引停止や送金停止の措置が行われる可能性があります。その場合、仮想通貨の移動ができなくなります。
イーサリアムのアップデートは2015年から行われてきましたが、最終段階に入ってきています。ここからはイーサリアムの最後のハードフォークと言われているセレニティや今後のイーサリアムの将来性について解説します。
今後のハードフォークについて
イーサリアムには大きく分けて4つのハードフォークがあります。
- Frontier(フロンティア)
- Homestead(ホームステッド)
- Metropolis(メトロポリス)
- Serenity(セレニティ)
メトロポリスまでのハードフォークはすでに終わっており、残すはセレニティのみとなりました。
イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムを「プルーフオブステーク」に変更するアップデートやシャーディングの導入などを行う予定です。もともと、イーサリアムはプルーフオブワークのコンセンサスアルゴリズムでした。プルーオブワークは取引をもっとも早く承認できた人が報酬を受け取るシステムです
プルーフオブワークのデメリットとして、機材投資を行なっていないユーザーは報酬をもらうことができないという問題があります。取引を承認するためには高度な計算能力のあるマシンが必要になりますが、資金がない人にとってマシンを揃えるのは難しいのです。また、承認作業にかかるデータ処理によって大きな電気代もかかってしまいます。
これらの問題を解決するために、セレニティによってプルーフオブステークに変更されて、マイニングの消費電力を減らします。
セレニティはの3段階で進む予定で、全てのフェーズが2022年までに実施予定となっています。
【セレニティの内訳】
- Beacon Chain
- Sharding
- State Execution
当初セレニティは、イーサリアムの5周年である7月30日に行われる予想でした。しかし、テストネットで問題が発生し、11月にずれ込む見通しとなっています。
イーサリアムのこれまでのハードフォークを考慮すると、アップデートが行われる際は価格に影響が出ます。価格は上昇する傾向が高いため、多くの投資家もこのアップデートに注目しています。
イーサリアムの今後の将来性について
イーサリアムはハードフォークへの期待も含めて、今後の価格上昇が期待されています。ハードフォークによるアップデート以外にも、ライデンネットワークの実装やDApps市場の成長などの要素もあり、今後の成長が期待できます。
また、イーサリアムの特徴とも言えるスマートコントラクトの機能への注目度は高まっています。スマートコントラクトは自動的に契約を進めるシステムであり、金融や不動産業界などでの活躍も期待されています。複雑な手続きが必要な契約に関してもイーサリアムのスマートコントラクトを活用すれば円滑に進めることが可能で、契約に関連する人の負担を減らしてくれます。
ハードフォーク以外の要素もあることから、2020年におけるイーサリアムの価格変動には期待が持てます。
2020年はイーサリアムに関するニュースを目にする機会がこれまでよりも多くなる可能性が高そうです。投資先としてイーサリアムを所有している投資家の方はニュースのアンテナを張っておくことが重要となります。