イーサリアムは複数のハードフォークを実施して、より安定したプラットフォームの完成を目指しています。そのため、多くのハードフォークを行うことが予定されているのですが、過去に一度ハッキング被害によるハードフォークを行っています。
今回は、イーサリアムのこれまでのハードフォークやアップデートについて解説します。
イーサリアムの今までのアップデート
イーサリアムは大きく分けて、4つのアップデートがあります。
- 1段階:フロンティア(2015年7月30日)
- 2段階:ホームステッド(2016年3月14日)
- 3段階:メトロポリス(2019年2月28日)
- 4段階:セレニティ(2020年予定)
現在は3段階まで完了し、最後の「セレニティ」を残すところとなりました。
セレニティが完了した段階でイーサリアムのコンセンサスアルゴリズムはプルーフオブワークからプルーフオブステークへと変化します。
ここからは、これまでイーサリアムによって行われたアップデートについて、それぞれ解説します。
フロンティア
最初のアップデートであるフロンティアは2015年7月にリリースされました。フロンティアはあくまで正式リリース前のテストプラットフォームとしてリリースされたため、技術者向けのテスト段階となっています。
イーサリアムの最初のバージョンとなっており、基礎部分ができあがったリリースといってよいでしょう。
ホームステッド
ホームステッドは2016年3月に実施されました。フロンティアを基盤としたアップデートと言えます。
大きく分けて以下の3点が施されました。
・GASコストの引き上げ
・ブロックチェーンの分岐を防ぐ機能の追加
・マイニングの難易度調整
イーサリアムのGASは送金する際に発生する手数料のことを指しています。GASはユーザーが自ら設定することが可能で、手数料が少ないと送金処理に時間がかかってしまったり、送金処理が完了しなかったりなどトラブルも多いです。
このコストがホームステッドのアップデートで全体的に引き上がりました。
ホームステッドのアップデートによって、より安定したプラットフォームに変化したと言えます。
これを機にプラットフォームを利用したアプリケーション開発がより進むようになりました。
メトロポリス
最後のアップデートである「セレニティ」の準備として進められたのが「メトロポリス」です。
メトロポリスアップデートは「ビザンチウム」「コンスタンティノーブル」の2段階にわけてアップデートが行われました。
ビザンチウムは2017年10月に、コンスタンティノーブルは2019年1月に実施されて、メトロポリスは完了となりました。
メトロポリスのアップデート内容としては大きく分けて2つです。
・ディフィカルティボムの設定
・マイニング報酬の減額
開発者、マイナー、投資家などと合意が取れたため、分裂は起きませんでしたが、イーサリアムのシステムはアップデートされました。
また、メトロポリスが終わった後に別アップデートである「ムーア・グレイシャー」が2020年1月2日に実行されました。実行ブロックは9,200,000に到達しており、ディフィカルティボムを遅延させるアップデートを完了させました。
最後のアップデートであるセレニティの準備に向けたアップデートと言えるでしょう。
2020年にセレニティと呼ばれる最後のアップデートが待っています。これによって、イーサリアム2.0へと変動してホワイトペーパーに記載されていたアップデートは全て終了します。
一つの区切りを迎えるイーサリアムですが、今後の動きにも注目が集まっています。
The DAO事件
2016年にイーサリアムが盗難にあった「The DAO事件」は、アップデートではないハードフォークが行われました。
それはイーサリアムのプラットフォーム上のプロジェクトであるThe DAOが発端となりました。非中央集権型の分散投資組織で、ファンド参加者の投票によって利益を投資者に配分するシステムを構築しました。
このプロジェクトに関するICOを開始した結果、約150億円もの資金を集めました。話題となったICOの脆弱性をつかれてしまい、資金のうち約360万ETHを盗難されてしまいます。
その結果、有識者によって協議がなされ、ハードフォークを行うことでこのハッキングを巻き戻すことにしました。
結果としてハッキングの記録自体がなかったこととなりました。しかし、イーサリアムの運営方針に納得しない人たちによって古いブロックチェーンが引き継がれることとなり、分裂が発生。その結果、イーサリアムクラシックが誕生しました。
様々な仮想通貨でハードフォークが起きていますが、ハッキング被害によるハードフォークはそれまでありませんでした。
イーサリアムは2020年11月にいよいよ2.0のアップデートが完了予定となっています。
そうなった時に、システムインフラとしての真の価値を発揮することを期待したいですね!
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