11月5日、米国下院でインフラ投資法案が可決されました。5年間で公共インフラに1兆ドルを注ぎ込む巨大な経済対策となります。
さて、この法案には仮想通貨(暗号資産)の課税強化を含まれています。
米財務省が5月に公表した報告書によると、富裕層が税金逃れに仮想通貨を使っていると指摘。取引の監視を強化することで280億ドル(約3兆円)を捻出できるそうです。
ここで大きな問題となったのが、ブローカーの定義です。法案では「他人に代わってデジタル資産の移転を実現するサービスに責任を持ち、定期的に提供する」事業者をブローカーと認定。この場合、開発者やマイナーもブローカーとみなすことができる曖昧さがあり、業界からは懸念の声が相次いでいました。彼らは、投資家情報を入手することができないにもかかわらず、当局に報告義務が生じるという無理難題を課せられることになるためです。
この問題は、最大手メディアのコインデスクが意見記事を出すほどの事態となっていました。米国でも、仮想通貨業界からの反発を受けて、一部の有力議員が修正案を提出しました。しかし、そのまま可決されてしまいました。
これを受けて、ビットコインは700万円を割り込む場面がありましたが、イーサリアムなどの主要アルトコインが強含んだ影響か、持ち直す動きを見せました。
イーサリアムの手数料バーン(焼却)のペースが安定していること、ビットコインのハッシュレートが180EH/sと高値圏にあること、そして、リップルの年に一度の最大のイベントであるSWELLが11月9、10日に開催されることで強含んでいることも大きいでしょう。
今日時点で、仮想通貨市場の時価総額は322兆円と過去最大を記録しています。
来週14日にビットコインは、Segwit以来となる大きなアップデート、タップルートが予定されています。この目的は、ネットワークのプライバシー、効率、スマートコントラクト機能を向上させることとなっています。
これが、ビットコインの上昇を後押しした可能性もあるでしょう。
なお、先週1週間の決済額は31億ドル(約3500億円)にも上り、過去最大となったそうです。
オンチェーン・アナリストのウィリー・ウー氏によると、秒間取引額ではクレジットカードの規模を上回るそうです。
▼1秒間あたりの取引額
ビットコインのネットワーク:約19万ドル
米国の顧客向けのVISA:13万ドル
マスターカード:5万5千ドル
仮想通貨は毎年秋に大きなトレンドが出る傾向にあります。2017年はバブル的相場になり、2018年はハッシュ戦争で大暴落。2019年は中国習近平国家主席がブロックチェーンの推進を発表し、2020年は700万円まで上昇するビッグトレンドの形成の初動でした。
まだ11月初旬であることを考えると、この上昇はまだまだ継続するかもしれません。