2021年6月に打ち出された、中国当局によるマイニング規制は当初、世界に大きな波紋を投げかけました。ビットコインのマイニングでは世界のうち65%程度は中国国内が占めているといわれているだけに、その大半が失われてビットコインの存立にかかわるのでは、とまで言う人もいました。
しかしこれとは逆に、中国以外の国のマイナーにとってはチャンスなのでは?と考える向きも多くなってきています。
中国での暗号資産規制は、今回が初めてではありません。そのことはすでに当コラムでも解説していますが、中国当局にとって暗号資産は外国勢力による「異物」なので、そのことを良く思わないことは容易に想像がつきます。
かくして何度もビットコインをはじめとする暗号資産には規制が加えられてきたわけですが、多くのマイナーは今回こそ本物であると見ています。実際、すでに多くのマイニング業者が閉鎖をしたり拠点を海外に移転するなどの措置をとっており、中国国内では今後ビットコインのマイニングを新規に始めることは困難でしょう。
世界の65%を占めていたマイニングシェアが空白になることは、それ以外の国のマイナーにとっては大チャンスです。すでにマイニングの競争がかなり緩和されており、中国以外のマイナーはメリットを感じ始めています。もちろん、これまで莫大な利益を上げてきた中国のマイナーがこれで全員不在になるとは考えにくく、例えば中国のマイニング大手であるビットマイニング社はマイニング用のマシンをカザフスタンに移転したことを発表しています。「中国国内でダメなのであればそれが可能なところで続ける」と考えるのはビジネスマンの道理なので、同様の対策をとる業者はたくさんいるでしょう。
それ以外のマイナーについても、アメリカへの移転が進んでいるといいます。アメリカの中でもテキサス州はエネルギーコストが安く、州知事であるグレッグ・アボット氏が暗号資産に対して親和的で、進出を後押ししているという話もあります。 テキサス州に限らず、アメリカのマイナーは石炭由来ではない電力を多く使用しており、かねてから指摘されてきたマイニングの電力消費による環境負荷の問題も解決できる可能性大です。なにせ中国国内のマイニングは大半が石炭火力によるものなので、CO2排出だけでなく多くの環境問題をはらんでいたのですから。
この流れで考えられることは、中国によるマイニングのシェア低下です。ゼロになることはありませんが、大幅に低下することは間違いありません。そのシェア空白を誰が埋めるのか?そのチャンスは、これから参入するマイナーにも開かれているということです。
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