ビットコインの価格が下落傾向となってから10月下旬に至るまで、ビットコインを筆頭にイーサリアムやリップルなど暗号資産市場全体が落ち込んでいましたが、中国が暗号法を可決してブロックチェーン技術を推進すると発表したことで、一時的に市場全体が上向きました。この動きがビットコインが持ち直した要因となったことと見て良いと考えられますし、暗号法を始めとしてブロックチェーン技術に力を入れ始めている中国の動きが、暗号資産の将来に大きな影響を与える可能性は十分あり得るといえます。
また、ビットコインはこれまでも様々な要因で乱高下を繰り返しており、今後も似たような動きをすることが予想できるため、今回のビットコインが持ち直した要因を整理するとともに、中国の暗号法をめぐる暗号資産の将来についても考察していきたいと思います。
暗号資産市場の雰囲気を変えた中国の暗号法
9月頃から下落を続けていた暗号資産市場は、中国が暗号法を可決したことによって雰囲気が一変しました。ビットコインは100万円台まで急騰し、その他の仮想通貨もそれに釣られるように急激に持ち直すかたちとなりました。
このような動きを起こした要因として、中国の習近平国家主席がブロックチェーンを国家を上げて支援を強めていく技術と発言したことが大きいと考えられます。ただし、これはあくまでもブロックチェーン技術に対してGOサインを出しただけであり、ビットコインなどの暗号資産の取引にGOサインを出したわけではないため、落ち着いて動向を見守る必要があります。
その証拠に、暗号法が可決されてから高騰したビットコインの価格が、その後は80万円以下にまで落ち込んだことからも、暗号法と暗号資産は別ものという考え方を持っていた方が良いといえます。
ただし、中国がアメリカのフェイスブックのリブラを意識しているのか、デジタル人民元の開発を急ピッチで進めているという見方があるので、中国の動向事態には意識を向けておく必要があります。
暗号資産の上昇に拍車をかけたショートポジションの決済
中国の暗号法を始めとした、ブロックチェーン技術に対して投資を加速していく意向を示したことの他に、ビットコインなどの暗号資産の上昇に拍車をかけたのが、ショートポジションの決済だという意見があります。今回の急騰において、ショートポジションだけでなくロングポジションも利食いとみられる決済の動きが多く見受けられたのですが、ショートポジションの手仕舞いの勢いの方が強く、ロングポジションの比率が80%を超える水準にまで達したようです。
現在はビットコインなどを始めとした暗号資産は値下がりを起こしていますが、投資家達のポジション整理が暗号資産の価格に大きな影響を与える可能性があり、その動きによっては上値が拡大することもあり得ることが分かります。
ブロックチェーン技術開発の推進が暗号資産の価格の押し上げにつながる可能性
中国側はデジタル人民元を発行する準備が進められていることを示唆するなど、今後の動きや市場に与える影響がどの程度のものになるかは不透明です。ただ、中国が5Gに続いてブロックチェーン技術においても主導権や強い発言力を持つことを黙認することは考えにくく、アメリカ自身もブロックチェーン技術の推進を重要視していることから、今後もなんらかの動きがあると考えられます。
今回は中国の暗号法可決が1つの要因となって、ビットコインなどの暗号資産の価格の押し上げにつながったと考えることができますが、今後も中国やアメリカがブロックチェーン技術の推進に関して何らかのアクションをとることによって、今回のように暗号資産の価格の押し上げが見込むことができると考えられます。
また、中国の動向を皮切りに各国のブロックチェーン技術が進化し、生活に必要な技術として浸透していけば、暗号資産の地位向上による価格上昇もあり得るかもしれません。
中国やアメリカの動向に継続的に注意する必要がある
暗号資産は今までも、中国やアメリカなどの動向が一因となって価格が上昇することもあれば、下降することもあるという動きを繰り返してきました。その動きは今後も続いていくと考えた方が良いと推測できます。
中国が発行する可能性を示唆しているデジタル人民元は国による監視が懸念されており、フェイスブックのリブラと同じように発行元に対する信頼性が問題視されてはいますが、将来的に発行される可能性は十分にあります。もしそうなった場合は、中国の中央銀行が暗号資産を発行するということになるため、アメリカも黙って見ているとは考えにくく、リブラなどの発行や、アメリカの中央銀行が暗号資産を反抗するという未来もあるかもしれません。そうなると、ビットコインなどの暗号資産に対してなんらかの影響があると予測されるとともに、中央銀行という発行元が明確な暗号資産が登場することから、ビットコインなどの既存の暗号資産の価値が下落する可能性もあります。
ただし、これはあくまでも1つの可能性を挙げたことに過ぎず、中国やアメリカがすぐに何らかのアクションを起こすとも限らないため、冷静に動向を追っていく方が賢明でしょう。
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