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あのテスラやソフトバンクと遜色ないビットコイン

筆者: 鳳ナオミ

<解説及び着目点>

12月第1週の暗号資産売買マーケットは、11月最終金曜日午後に報じられた新型コロナ変異株(オミクロン)の感染報道による世界同時株安、リスクオフムードの誘因で、時価総額トップのビットコイン(ティッカー:BTC)、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)さえもマイナスの影響を受ける形となりました
そもそも新型コロナの暗号資産に対する直接的な影響はほぼ無いと考えられる中、伝統的なマーケット(株式、債券、商品等)の変調が暗号資産に起因すること自体、暗号資産に対する間接的な影響が増大している証左と言えます。


11月末に、英中央銀行総裁が、「ビットコインを法定通貨とするにはボラティリティが過大」と発言した様に、ビットコインはボラティリティが大きく、とても素人が手を出せる投資対象ではないとしばしば言われます。
ビットコインといえば、2017年末にかけての急上昇、2018年の大暴落相場が象徴的ですが、それに匹敵する相場は2021年です。
そんなビットコインの今昔を、年間変動率を表すヒストリカルボラティリティで比べてみると興味深い内容となっています。


数値が高いほど価格変動リスクが高く、低いほど価格変動リスクが低いことを意味するヒストリカルボラティリティを、ビットコインとドル円などの法定通貨、NYダウなどの株式インデックスと比較すると、その数値の違いからとても決済通貨としては採用し得ないし、株式インデックスと同等には扱えない、組み入れリスクの高いアセットであることがわかります。


ただ、2017年当時と比べてビットコインのヒストリカルボラティリティの数値は徐々に低下し、世界の株式時価総額トップ5に君臨するアルファベット(”グーグル”同:GOOGL)やマイクロソフト(同:MSFT)、そして誰もが知っているトヨタ自動車(証券コード:7203)など優良株式と比べても、数値が極端に突出しているとは言えない時期が比較的長期に亘って続いています
更には、グロース株(成長株)と比べると遜色ない水準であることがわかります。グロース株の象徴である米国テスラ株式、日本のソフトバンク株式の2社とでは、ヒストリカルボラティリティは殆ど変わりません。
むしろ、直近ではテスラ株式の方が数値は高い結果となっています。
(グラフ参照)

つまり、ボラティリティという観点では、他アセットである個別株式、とりわけグロース株と同等の投資対象と言えるほど、ボラティリティが低下しているのです。
インデックス運用を行う大手運用機関は、対象銘柄がたとえ割高であろうと、ボラティリティが多少高かろうが株式時価総額上位銘柄は一定程度組み入れざるを得ません。先述したテスラはファンダメンタルズベースではとても割高ですが、時価総額世界上位10位以内に位置する為、組み入れている投資家は少なくありません。
これが意味する所は、規制や管理面といった一定の投資環境条件が整えば、ビットコインはなんら遜色ない投資対象と言えることになります


JDR.株式会社で算出しているJDR.Index(ジェーディーアールインデックス)は暗号資産マーケット全体を観察する指標として便利で、同指標の12月第1週のパフォーマンスは-3.4%の下落、ビットコイン単独でも-3.4%の下落となりました。オミクロン株の影響を引きずった格好です。JDR.が個別で格付け(レーティング)しているコインでは、インセンティブプログラムの影響もあったテラ(同:LUNA/上昇率+50%)が大きく上昇しました。

分析の詳細及び12月2週の注目ポイントはこちら(あのテスラやソフトバンクとなんら遜色ないビットコイン)からご覧いただけます。

暗号資産マーケットに関連する主要な出来事及び相場回顧、翌週の注目点をピックアップします。
(対象期間:前週金曜午後~金曜日午前)

<主な出来事、要人発言、事業会社発表など>

11月27日(土)~11月29日(月)

👉英中央銀行総裁、「ビットコインを法定通貨とするにはボラティリティが過大」

👉シンガポール、2つのBTC投資信託をローンチ

👉中国政府、デジタル資産取引所の開設検討

👉ビットコインの11月運用資産額9.5%減、7月以来の月間最大下げ(クリプトコンペアレポート)

👉タンザニア中銀、中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入を計画

11月30日(火)

👉ウィズダムツリー社、欧州の取引所にバスケット型ETFを上場

👉米マイクロストラテジー、7,000BTCを買い増し

👉米資産管理会社インベスコ、ドイツ株式電子取引所に現物BTCのETP(上場取引型金融商品)をローンチ

👉米資産管理会社ケリー、再びイーサリアム先物ETFを申請

👉ツイッター社、BTC支持派のジャック・ドーシーCEOが退任

12月1日(水)

👉パーパスインベストメンツ、カナダで初の利回り提供の暗号資産ETFをローンチ

👉フィデリティ、12月2日にカナダでBTC現物ETFをローンチ予定

👉インドネシア中銀幹部、「CBDCはビットコインに対抗するためのツール」

👉プーチン大統領、「暗号資産は高いリスク」

👉米グレースケール、ソラナ(SOL)投資信託をローンチ

👉米グレースケール、SECのBTCのETFの取り扱いが行政手続法違反の可能性と主張

12月2日(木)

👉BTC建てイーサリアム(ETH)が最高値更新

👉中国人民銀行、メタバースやNFTの監視強化を提案

👉クロアチア最大のの大手スーパーKonzum、暗号資産決済を導入

👉資産運用企業21シェアーズ、ポリゴン(MATIC)のETPをパリ及びアムステルダム証取でローンチ

👉米決済大手スクエア、事業内容変更を反映し社名を「ブロック(Block)」に変更

12月3日(金)

👉SEC、ウィズダムツリーのBTC「現物」ETFの申請を却下

👉米議会下院、FTXやコインベースなど主要暗号資産企業トップを集めた公聴会開催

👉米ETF企業のDefiance社、NFT特化型ETFを提供

👉メタバース上の仮想土地NFT、先週1週間で取引高は1億ドル以上

👉米ヴァンエック、暗号資産マイニングETFを申請


【新着・関連情報】
12月の注目タイムテーブル
シンガポールを先駆けに覇権狙う中国


※本資料は、暗号資産の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関してはご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、筆者が各種メディア報道、事業会社アナウンス、要人発言などより抜粋し、作成しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や見通し等は、今後、予告なしに変更されることがあります。

鳳ナオミ

鳳ナオミ

大手証券アナリストとして10年以上経験後、リスクモデルを駆使する絶対収益追求型運用(プロップ)に従事、ボトムアップとトップダウンアプローチを得意とし年平均+15%以上のリターンを実現。その後オルタナティブ投資、ファンド組成、企業再生に取り組むなど多岐に渡る金融経験を持ち、現在はクリプトの世界に。日本初のデジタルマネー格付け及びインデックスを提供する「JDRpro.」の運用責任者も務める。

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