1/26(金)に発生したコインチェックに対するハッキングで被害を受けたネム(NEM)保有者に対して、コインチェックより補填内容の発表がありました。
前回記事:コインチェック社で580億円のネム(NEM)ハッキング被害。顧客資産は凍結状態に
1月26日に不正送金されたNEMの補償について
総額 : 5億2300万XEM
保有者数 : 約26万人
補償方法 : NEMの保有者全員に、日本円(JPY)でコインチェックウォレットに返金。
算出方法 : NEMの取扱高が国内外含め最も多いテックビューロ株式会社の運営する仮想通貨取引所ZaifのXEM/JPY (NEM/JPY)を参考にし、出来高の加重平均を使って価格を算出。算出期間は、CoincheckにおけるNEMの売買停止時からリリース時までの加重平均の価格で、JPYにて返金。
算出期間 : 売買停止時(2018/01/26 12:09 日本時間)〜本リリース配信時(2018/01/27 23:00 日本時間)
補償金額 : 88.549円×保有数
補償時期等 : 補償時期や手続きの方法に関しましては、現在検討中。返金原資については自己資金より実施。
出所:不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償方針について
今回、コインチェックは自社運用でのネムのハーベストは行っていませんでしたが、他の仮想通貨での運用や収益(100億円以上はあるとみられている)での流動性資産があり、そこから補填するということになったのでしょう。全額で460億円相当になるといいます。
セキュリティ面で、コールドウォレットに保管していると書かれていたところが虚偽記載であったために、コインチェックも同時に被害者ですがユーザーに返金せざるを得ない判断であったということでしょうか。
ユーザーの反応、税金は保有枚数はどうなる?
今回の対応に関して、筆者の友人でありコインチェック利用者より対応に関しての意見をいただきました。
まずは、週明けを待たずして記者会見から24時間で発表したスピード感には誰もが驚いていました。
しかし同時に、1.返金方法が日本円だということ、2.算出価格が売買停止時ではなく、売買停止時からリリースまでの加重平均ということに不満を持っているようです。ちなみに、※当サイトで算出している売買停止時のネム(NEM/JPY)の価格は104.88円でした。
※bitFlyerのBTC/JPYとBITTREXのBTC/NEMより算出
事件発覚直前の価格よりも約2割ほど安くなっているので、当然でしょう。
兵庫県在住の女性プランニングライター(30代)は、「ネムの平均保有価格は17円、保有枚数は約2万枚ありカタパルト実装まで保有するつもりだったのに、強制的に利益確定されてしまった。JPYで返されても本当困る。」と憤りを示した。しかし、一方で「投資は自己責任なので怒っても仕方ない。コインチェックは1日で記者会見を行い、保有者にきちんとした対策を提示して頑張ったと思う。」と同社の対応を評価した。
一方、神奈川県在住の男性会社員(40代)は「算出価格が安すぎる。」と不満を漏らし、また今回の騒動時にネムだけでなく、全ての仮想通貨の売買及び送金の停止、日本円の出金を停止したことに不信感を募らせました。
ネムから日本円になって返ってくるということで、「これは利益確定になるのか、税金はどうなる?」という声も数多く聞かれました。
ただ、ネムでの返金となると、コインチェックが580億円分(枚数での平均ではそれ以上に)の買付けを行う必要があり、ネムの流動性ではあっという間に1000円を遥かに超えることになってしまいます。このあたりはネム財団との協議を行ったと思われますが、ネムでの返金はそういった問題もあり難しいかったのでしょう。今回ハッキングされた5.2億NEMはネム全体の4%ほどを占める量だったといわれています。
ハッキングされたネムはハッカーのもとにありウォレットをマーキングされているとはいえ、まだ返金されておらずに解決しておりません。
今回の事件は仮想通貨業界に悪影響を与え、社会的にもこれだけ大きなニュースとなったことで、もしかすると一般の人には「やっぱり仮想通貨は危ない」という印象を与えてしまったかもしれません。
コインチェックに落ち度があったとはいえた、事件発生から約2日のスピードで補填方針を示したことは英断だったといえそうです。
日本の取引所は安全というイメージが崩壊して残念ですが、この事件を機に取引所のセキュリティレベルの向上と第三者によるモニタリングなどの監視体制が強化されること、そして被害に遭った投資家さんにできるだけ多くの保証がされることを切に願っております。