
カナダ銀行はフラッシュローンに関する調査論文を公開し、ブロックチェーン上で行われるフラッシュローンの実態と課題を包括的に分析した研究結果を発表しました。
フラッシュローンとは、取引が完結する同一ブロック内で借入と返済を同時に実行し、返済できなければ取引自体が取り消されるという特殊な融資形態のことです。2018年に登場して以来、担保を必要とせずに資金を瞬時に調達できる点が注目され、主にイーサリアムやArbitrum、Optimismなど合計11のEVM互換ブロックチェーンで利用されています。
今回の研究では、約2,400万件にのぼるフラッシュローンの履歴データ(総額3兆ドル超)を収集し、その利用パターンを精査しました。その結果、全体の75%以上(件数ベース)がアービトラージに活用され、市場価格の乖離修正や流動性の向上に貢献していることが示唆されています。
一方で、ハッキングやウォッシュトレードなど不正利用の事例も一部確認されており、総取引数全体から見れば割合は低いものの、単一の大規模悪用が甚大な被害をもたらす恐れがある点を警鐘として指摘しています。
本ペーパーの著者であるJack Mandin氏は、トークン化インフラや瞬時決済が伝統的な金融システムにも普及する将来を見据えれば、フラッシュローンの仕組みが従来の金融市場へ応用される可能性があると述べています。また、利便性や効率性が向上する一方で、従来にはなかったリスクや不正利用の懸念が高まるため、政策当局や規制当局は早期のルール整備やリスク管理の基準を検討すべきだというのが同氏の結論です。
今回のペーパーそのものには法的拘束力はありませんが、各国の中央銀行や規制当局がDeFiにおける先進的な機能に注目しはじめていることを示す事例として、専門家や市場参加者の間で大きな関心を集めています。
情報ソース:Bank of Canada
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