中長期投資とは数ヶ月〜数年という長い時間をかけて売買を完結させる投資手法です。短期的な価格の上下に左右されず、長い時間をかけて投資を行うため、大きなトレンドの波に乗ることができれば大きく資産を増やすことができます。株式投資で有名なウォーレン・バフェット氏もこの手法を用いて投資を行い、莫大な資産を築き上げました。
しかし、中長期投資にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。気をつけるべきポイントとしてはどういったことが挙げられるのでしょうか?
今回は、仮想通貨の中長期投資について説明していきたいと思います。
中長期投資とは?他の投資スタイルとの比較
投資スタイルには中長期以外にも、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードなどの手法があります。
- ○スキャルピング:数分
- ○デイトレード:数時間〜1日
- ○スイングトレード:数日から数週間
- ○中長期トレード:数週間〜数ヶ月、数年
このようにいくつかの種類が存在し、投資家によって得意な投資スタイルが変わってきます。スキャルピングやデイトレードが小さい値幅をコツコツと取っていくのに対して、中長期投資では、目先の細かい値動きに注視する必要性はあまりなく、決済を行う将来の期間まで相場の方向性を分析していくことから始まります。
分析に使われるチャートの時間軸については、短期売買では分足から時間足を見ていくのに対して、中長期投資では日足〜週足を使うことが多いでしょう。小さな値動きに翻弄されず取引にかける時間が短期取引に比べて少ないため、兼業投資家でもやりやすいスタイルだといえます。
仮想通貨の中長期投資は、当たり前ですが投資対象の仮想通貨の価値が上昇するという材料があることが大前提です。その仮想通貨がさほど普及しなかったり、悪いニュースが出た場合、せっかく長い時間を費やしたのに報われないケースも出てくる可能性もあります。
最も有名な仮想通貨であるビットコインは、2015年の冬に3万円程度だったにも関わらず、2017年の冬には200万円を超える価格の上昇を見せました。一時的にではありますが、2年間で約70倍になったのです。しかし、仮想通貨市場の歴史はまだ浅く短いため、この先もさらに価格が上昇していくという保証はどこにもありません。事実、その1年後には30万円程度まで暴落してしまったことも確かです。中長期トレードを行う場合、仮想通貨の普及していく未来を信じながらも、価値が無くなってしまうリスクまで考えてコツコツと投資していく必要があるでしょう。
仮想通貨の中長期投資のデメリット
中長期取引にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
資金管理の難しさ
まずひとつ目として、資金管理の難しさが挙げられます。短期売買では資産にレバレッジをかけて取引をする事が多いかもしれません。しかし、中長期投資では、ポジションを持ち続けていればいるほど、暴落のリスクも高まっていくとも言えます。証拠金維持率が低いとそういった相場の動きによって強制ロスカットされてしまう可能性も高くなります。長期取引の場合はあまりレバレッジを上げずに証拠金維持率を高めに設定したり、現物を買うことによって、損失を許容できる範囲でポジションを持ち続けることが大切です。
資金効率の悪さ
ふたつ目に資金効率の悪さが挙げられます。レバレッジの低い取引を行う場合、多くの資金が必要になってきます。同じ資金だとしても短期トレードでは、レバレッジをかけ、資金が雪だるま式に増えていく(もちろん逆も有り得ます)のに対して、長期トレードはトレード回数が少ないゆえに資金効率が悪くなるのもデメリットと言えるでしょう。
損切りがおろそかになる
最後は長期投資ならではの損切りの考え方があります。
例えば、短期取引でトレードを始め、予想とは違った値動きによって含み損が大きくなってしまったがために、「長期で保有しよう」、「ここから値段が下がってもコツコツと買っていけばいいや」などという考えになってしまう事がある人もおおいのではないでしょうか。
筆者も経験がありますが、長期用に設定していない資金管理のまま価格がどんどん下落し、含み損が大きくなっていくと損失の額を受け止めきれず、最初に定めた予想を自分の都合のいいように途中で変更してしまうこともあります。増えていく含み損を眺めながら全てがどうでも良くなり、考えることを放棄してしまう事もあるでしょう。
そして結果的に多くの資産を失うことになってしまいます。損失が膨らむと、それを取り返そうと無茶な取引に走り、また大きく資産を失う。そういった悪循環に陥る可能性もあります。そのため、中長期で取引を行う場合は、事前に資金管理と値動きの想定、それによって取る戦略と行動を決めておく事が必須だと言えるでしょう。