仮想通貨(暗号資産)へ投資を行う人の中には、FXトレーダーが多いということが当サイトのアンケートや交換業者のユーザープロファイルにより明らかになっています。
そこで今回は、FX雑誌の元副編集長で、現在はフリーライターとして活躍しており、自身でも仮想通貨へ投資を行う鹿内武蔵氏に、FXライターから見た仮想通貨への投資に関して取材を行いました。
数多くの投資家を取材したことのある鹿内氏は、仮想通貨への投資をどう考えているのか、見解をいただきました。
FXライターから見た仮想通貨への投資
FXライターの鹿内武蔵です。もう休刊になってしまいましたが、かつて国内唯一の月刊FX情報誌で副編集長をさせていただきました。おかげさまで、いろいろなトレーダーさんを取材できましたし、多岐に渡る手法にチャレンジするアイデアを得ることができました。
自分のこの立場から見て、最近面白いんじゃないかと思っている仮想通貨について書いていこうと思います。
多岐にわたる投資商品へチャレンジ
現在、私はFX以外にも、日経平均先物のシステムトレード、フィリピン株、仮想通貨、投資信託などへの投資を行っています。
こうして様々な投資に手を出していると、本質的に有利な投資、不利な投資というものはないと感じます。ただ、それぞれに特性があり、本人に合っているか、時流に乗っているかといった部分が大事なのかなと。
FXは、リスクオフ(いわゆる不景気)時に求められる資産である通貨同士の交換率をやりとりするものなので、普段トレンドがなかなか出ません。上下に動き出してもすぐに戻ってきますし、流動性が高すぎてランダム性も高すぎる、つまり売買エッジが見つけにくい商品ではないかと感じています。
だからこそFXでは、レンジ相場に強いリピート系自動売買が有効な投資手段だと感じます。同じ価格帯でいったりきたりしているだけでお金が増えていくわけですから、横ばいが常態のFXにマッチしている商品といえます。
日経平均先物
日経平均先物は、資金効率が非常に良い商品で、レバレッジ換算をすると20倍くらいになります。しかし、FXと比べてボラティリティが圧倒的に高く、最低ロットであるミニ1枚でも1日で10万円勝ちすることもあります。
また株価が対象なので、長期的には上昇が基本であり、売買が完全に止まる時間があるため、マーケットエッジが生まれやすいといえます。
フィリピン株にも投資していますが、こちらはバイ&ホールドが基本、いわるゆガチホという投資方法をとっています。圧倒的な経済成長により、100倍、1000倍になる可能性を夢見て、同国の様々な株式を保有しています。
投資信託も行っていますが、こちらは楽天ポイントで自動的に買っているだけです。そのため、元手がまったくかかってないので、ストレスなく少しずつ貯めているという感じです。
仮想通貨はテクノロジーへの投資
さて、今回のテーマの仮想通貨ですが、まず私はビットコインやイーサリアムを通貨と思っていません。
仮想通貨第1号のビットコインは、デジタル上でお金のやり取りが完結し、中央の管理者がいない通貨として誕生しました。つい最近では、エルサルバドルという中米の国家がビットコインを法定通貨として採用したことが話題になりましたが、どちらかというとこういう使われ方は少数派でしょう。仮想通貨の取引をしていても、仮想通貨で買い物をしたことがある人は少ないと思います。
では、仮想通貨の役割は何なのかというと、デジタル資産の将来性にベットする投資対象ではないかと思っています。ビットコインの根幹をなすブロックチェーンという仕組みは、既に述べたとおり中央の管理者がおらず、ユーザー間だけで成り立ちます。プログラムが自動的に動き続けて、お金や情報のやりとりが無人で実行されます。
将来的にこういった仕組みが社会に浸透していくことで、人類には様々なメリットがあると考えられます。仮想通貨の送金・決済機能は、最初は一対一のお金のやり取りからスタートしましたが、既に多数の人間が利用できる無人かつ高速かつ低コストの取引所(DEX)が何十も稼働しています。
つまり、仮想通貨を買うということは、こういった未来に期待し、その価値に投資していることだと私は解釈します。
誰にも未来は分からない
私はトレーディングビュー(TradingView)というチャートソフトを愛用しています。非常に多機能で、FX、国内株、海外株、株価指数、仮想通貨など、いろいろな市場のチャートを表示できます。しかし、歴史の浅い仮想通貨のチャートは当然ですがとても短いものです。
●ビットコインの価格推移
これはビットコインの月足チャートなのですが、これで全期間です。ビットコインは2009年に誕生していますが、大手の取引所で取り扱いが始まったのは2013年からとさらに後になるため、まだローソク足のデータ自体が少ないわけですね。本格的に売買代金が何千億と拡大した時期は、2016年後半とさらに後になります。
移動平均線をみると、50日単純移動平均線(青色)がチャートの途中から始まっているのは、この時点でようやく50本のローソク足が立ったからです。期間に達していない移動平均線は表示されないので、例えば長期のトレンドを表すことで有名な200日移動平均線はまだ画面には現れていません。
このように仮想通貨の歴史が非常に短い点をどう解釈するかが、個々の投資において焦点となる人も多いでしょう。過去のデータが少ないため、トレード戦略が立てづらい得体の知れない商品であると同時に、どんな未来が訪れるか誰にも想像できない、ケタ違いの爆発力を秘めた商品と考えることもできます。
実際に、バブル崩壊といわれながらも、2020年から2021年にかけてビットコインは約10倍に上昇しました。
ちなみに私個人としては、仮想通貨の存在を知っているのに参加せず、将来的に暴騰したら悔しい。そのため、ちょっとだけでも持っておこうという投資スタンスです。資産の一部を投じながら、インパクトのある未来を気長に待ちたいと思います。
半減期の4年サイクルを軸に超長期保有
もう少し具体的な売買戦略ということでいえば、ビットコインの4年周期を基準に考えています。ビットコインは4年に一度、マイニングという新規の通貨発行プロセスの報酬が半分になる節目があります。この周期で価格が大きく上昇しています。
過去の値動きを見ると、2013年末、2017年末に高値をつけており、そこからは長い調整に入っています。2021年はまさにこのサイクルに該当する年ですので、4年前、8年前と同じ動きになるなら、今年の年末あたりが相場のピークになる可能性が考えられます。
ただ、過去と同じ動きになるかは分かりません。上ヒゲが出たり、強烈な急騰相場が出現するなどの頂点付近の動きがチャートから判断できた時点で、段階的に持っているポジションを法定通貨に交換していくつもりです。ピンポイントの予想は当たらない前提で取引しておかないと、ボラティリティが高い仮想通貨では、メンタルがやられてしまいます。
以上、仮想通貨へはテクノロジーへの投資とし、半減期の4年サイクルを基準としているという話でした。