イーサリアムの大型アップデート、マージ(The Merge)が無事通過し、1週間ほど経過しました。
値動きとしては、23万円ほどから18万円へと下落する展開となっています。
この下落の要因と、マージの後に起こったことをまとめておきます。
イーサリアムの需給が改善
マージによって、イーサリアムの承認アルゴリズムはPoWからPoSに移行しました。
これまでマイニングマシンを使って計算を行っていた仕組みから、一定数(32ETH)を保有する人が承認者の団体に参加し、ランダムで承認活動を行うというPoSの仕組みへと変わったのです。今日時点で、ステーキングされているイーサリアムの量は1456万ETHを超えています。
そもそもイーサリアムは、昨年の手数料をバーン(焼却)するというアップデートにより、大幅に需給が改善されました。
おおよそ、毎日1万2500ETHほど発行されていたETHの3割から8割ほどが手数料としてバーンされるようになったことにより、市場で売却されるETHが低下。大幅な価格上昇につながったのです。
今回は、マージ後の約24時間で360ETH程度。5日経過した時点では、3524ETHが発行されています。
出所:ultrasound
ETHの発行量の情報を伝えるWebサイトである「Ultrasound」では、Powの時のETHよりも年間の供給量がおよそ95%低下したことを示しています。
そのため、普通に考えるとETHの価格は上昇しやすくなります。
しかしながら、上昇しなかった理由が主に2つあります。
・ETHW(EthereumPoW)を保有するために購入していたETHの売却
・ETHWへのリプレイアタック
ETHWを保有するために購入していたETHの売却
今回、アップデートの際にすべてのマイナーがETHを承認するとは限らず、アップデートを引き継がないPoWのままのチェーンをマイニングし続けるマイナーがいると考えられていました。
そのため、アップデートの際にイーサリアムが分裂し、ETHWが誕生する可能性が高く、実際にそうなりました。
つまり、ビットコインからビットコインキャッシュが誕生した時と同様に、アップデートの際にETHを保有していれば、ETHWが付与されるのです。それを見越した投資家がETHを保有し、アップデートの後に売却することが考えられます。
結果的に、アップデートは無事通過したものの、既に多くの投資家がETHを保有していたために売りに押されることとなり、価格が下落したと考えられます。
ETHWへのリプレイアタック
アップデートの翌日である9月16日に、EthereumPoWのブロックチェーンで、メッセージを複製して資産を盗む攻撃「リプレイアタック」が行われました。
被害に遭ったETHWは200ETHWほどでしたが、アップデートの翌日にリプレイアタックに遭ったというネットワークの脆弱性から、仮想通貨(暗号資産)全体が弱含む結果となりました。
十分なハッシュパワーが集まらない場合は、再度同じことが起きる可能性がありそうです。
なお、現在のETHWの時価総額は1200億円。アップデート前の先物取引での価格は6000円ほどありましたが、今日時点では1000円程度で推移しています。