仮想通貨(暗号資産)の価格下落や競争の激化、さらに電気料金の高騰など、仮想通貨マイニングの事業環境悪化が指摘されています。「もはやマイニングはオワコン」という声も聞かれますが、実際にはどうなのでしょうか。オワコンだと言われていたのがただの噂で、逆に大手機関投資家はマイニングビジネスに熱い視線を送っています。
マイニング投資に何が起きているのか?その現場をレポートしたいと思います。
米運用大手がビットコインマイニングへの投資を拡大
米国には世界的な大手運用会社があります。ブラックロックやバンガードなどこれらの運用会社は世界でも資産残高が群を抜いており、日本にも多くの顧客がいます。こうした米国の大手運用会社が、こぞってビットコインマイニング投資を拡大させています。
最大の理由は、当コラムでもすでに紹介したようにビットコインのマイニングが抱えていた環境負荷の問題を解消しつつあるからです。ESGといって環境問題を含む社会のさまざまな問題に取り組んでいることが証明されないと投資適格ではないというのは欧米にある近年の考え方です。
このESGの要件さえ満たせば、こうしたプロの運用会社はビットコインマイニングを有望なビジネスと見なしているわけです。
ビットコインETFの承認も追い風に?
2023年10月時点ではまだ進行中ですが、ビットコインのETFが上場申請されています。この上場が認められると米国で高い信頼を得ている証券取引所に暗号資産を運用対象とするETFが取引可能になるため、ビットコインの地位は飛躍的に向上するでしょう。
米国で大手運用会社がこぞってマイニング投資を拡大しているのは、こうしたビットコインETF承認の流れも見越してのことだと思います。
テスラもビットコイン決済を再開
電気自動車大手の米テスラは、一時ビットコインでの決済を停止していました。これも理由は「環境負荷が高い」というもので、CEOであるイーロン・マスク氏の意向でした。しかし、それも再生可能エネルギーによるマイニング比率が50%を超えたら決済を再開すると明言しており、ビットコインを取り巻く状況も大きく変わっています。
世界最大規模の運用額を誇る米国の大手運用会社が取っている行動だけに、ビットコインマイニング企業への投資拡大は今後を展望する上でひとつの大きな事実となるでしょう。
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