4月2日にビットコインが急騰し、その後も勢いは衰えることなく上昇。
先週末には70万円を突破し、わずか2日で83万円台まで急騰。2018年8月3日以来となる高値を付けました。
◇ビットコイン(BTC/JPY)チャート
この上昇劇はテレビなどでも報道されており、仮想通貨投資熱が再来しそうに思えます。
今回は、これから仮想通貨へ投資をしようと考えている人に向けて、知っておきたい上昇の背景や国内の法改正などを解説していきます。
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1.ビットコインが急騰した理由
ここ2カ月でビットコインの価格は約2倍になりました。
多くの人は、なぜこんなに上昇したのか分からないことでしょう。
まず、そもそも毎年春には仮想通貨が上昇しているのです。
過去3年間の春の値動きと目立ったニュースは以下の通り。
- 2016年:半減期により 5万円 → 8万円
- 2017年:日本で仮想通貨ブームが到来 12万 → 36万円
- 2018年:ブラックロックが仮想通貨市場に参入の報道 68万円 → 108万円
これだけ見ると、たまたまニュースが出たからのように思えますが、主に3つの季節要因があるとされています。
① coindeskが主催するコンセンサス
毎年5月末に開催される、世界最大の仮想通貨ニュースメディアであるcoindeskが主催する世界最大の仮想通貨・ブロックチェーンイベントであるコンセンサスがあります。これは著名な起業家や、投資家、暗号技術のコア開発者から学者などがブロックチェーンと暗号の将来を探究し、議論する世界的な会議です。2017年にはZcashとJPモルガンとの提携が発表され、短期間でZECの価格は3倍に急騰しました。
◇コンセンサス2019年概要
日程: 5月13日(月)~15日(水)
開催場所:ニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウン
参考:https://www.coindesk.com/events/consensus-2019
また、この週はブロックチェーン・ウィークと呼ばれており、NYで多数のブロックチェーン・仮想通貨に関するイベントが開催されます。
② 水力発電によるマイニングコストの低下
ビットコインのブロックチェーンを支えるマイナーの大半は、中国でのマイニングを行っています。
中国では、雨季(5月~9月)になると電気代が安くなることでマイニングにより力を入れるマイナーが増加。その結果、ビットコインのハッシュレートが上がり相場にプラスの影響を与えることとなります。
今年もマイニング大手のビットメインが、雨季の水力発電に向けて20万台のマイニングマシン(約80億円の投資)を稼働させたと報じられています。
参考:ビットメインが新しいビットコインのマイニングマシンを発売
③ 法改正や企業の参入などが増える
新年度に入ると、日本では様々な法改正が進みます。
過去3年で、春に起こった法改正の出来事を見てみましょう。
2016年:日本の改正資金決済法(いわゆる仮想通貨法)が5月25日に参議院で可決、成立
⇒ 施行は2017年4月1日
また法改正ではないですが、2016年7月にビットコインの半減期が到来したことは価格に大きな影響を与えました。
2017年:改正資金決済法の施行、ビックカメラでのビットコイン決済の導入
2018年:みなし業者の登録期待、G20での仮想通貨規制への期待、ブラックロックなど大手金融事業者の仮想通貨事業への参入報道
過去にこういった流れがあり、2019年も3月にみなし業者の登録(楽天ウォレット、ディーカレット、TAOTAO)と資金決済法や金融商品取引法の改正案が閣議決定されたました。
参考:仮想通貨の「暗号資産」への変更、20年6月までに 法案を閣議決定
さらに、3月にはコインデスクジャパンがリリース。Yahoo!ファイナンスとの連携がスタートしたことで、仮想通貨がより大衆に知られやすくなりました。
実はビットコインの価格は3月には10%程度上昇しており、これらのニュースを受けて買い仕込みを行うことは十分可能だったのです。
2.仮想通貨市場の今後
では、今後の仮想通貨はどうなるのでしょうか。
値動きに関しては、昨年11月の下げ幅を埋めたことにより、冬の時代は完全に終わったと言って良いでしょう。
そして、この上昇に弾みをつけたと噂されている材料に米投資会社のCMがあります。
Today we unveiled our #DropGold TV commercial. We think it's a #MustWatch
— Grayscale (@GrayscaleInvest) May 1, 2019
sound ON! pic.twitter.com/SEGAmMItsE
日本でコインチェックがCMを放送した時に、仮想通貨ブームが加速しました。
グレイスケールというビットコインETFを申請したこともある会社のCMですが、このTwitterだけでも1600件以上リツイートされており、世界的に影響を与えた可能性があるといえそうです。
まわりの個人投資家に意見を求めると、4月の上昇では疑心暗鬼だった投資家も、10連休の間にすっかり仮想通貨に興味を持つようになっています。
しかし、皆一様に買いたいけれど買えていないとのこと。つまり、潜在的な買い需要は、非常に多いといえるのではないでしょうか。
海外では、まだ法整備の動きが進んでおり、米国では大手仮想通貨取引所のビットレックス(Bittrex)ですら、NY州の仮想通貨ライセンス取得に失敗しています。
参考:仮想通貨取引所Bittrex、NY州の仮想通貨ライセンスに取得失敗|取り扱い通貨を巡り対立
しかし、日本では過去1年間進んでいなかった仮想通貨交換業者の登録がようやく前進しているのです。レバレッジ取引を金融商品とすることや、最大の課題の一つであるカストディ(管理・保管)も、ウォレット業者が担うなどで解決を図る方向性となっているようです。
3月の閣議決定の前には、事業者協会のガイドラインが改定されており、かなりの根回し、調査が行われて物ごとが進んでいることが分かります。
2017年、日本は世界中から注目される仮想通貨大国でした。
しかし、先の事件を受け2018年は世界から厳しい目で見られた1年でした。
直近の上昇劇を受け、2019年は復活の年と言っても良いのではないでしょうか。
5月14日追記:5月13日の深夜にBakktがビットコイン先物のカストディ・取引業務のユーザーテストを7月にも開始する予定であることが報じられビットコインの上昇に弾みを付けました。
参考:Bakkt、今年7月にもビットコイン先物カストディ・取引業務のユーザーテストを開始か?
※本記事の意見や予測は、筆者の個人的な見解であり、金融商品の売買を推奨を行うものではありません。
投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。