年初のバブル崩壊から、依然として値動きに覇気が感じられない仮想通貨市場。
あの急騰劇、バブル再来を信じる者が後を絶たない。
「一向に理想と現実との車間距離が縮まらない」こんな心理状態の方がほとんどだろう。
しかし、そんなものは希望的観測に過ぎない。
あえて冒頭で結論を述べるが、次に訪れる上昇は2017年末のバブルレベルではない。
もっと本質的で底堅く、力強く、長期投資対象物としてふさわしい上昇を形成するだろう。
だがそれはバブル急騰劇が再来するという意味ではない。
ここでは現役トレーダーが相場の本質に基づき、多くの者が勘違いしている「一過性上昇(バブル)」と、「本質的上昇」の違いを明確に検証する。
※前回のコラム「65万円割れは時間の問題?現役トレーダーが値動きだけで解説」を読んでいないという方は、まずこちらからご拝読ください。
一過性上昇(バブル相場)の正体
◇BTCJPY:日足チャート
2017年11月13日~同年12月8日にかけて、わずか1ヵ月にも満たない期間にも関わらず、60万円⇒230万円という、金融市場を脅かす急騰を遂げたビットコイン相場。
投機対象として世界中から注目を集めた、いわゆるバブル期と言われる相場。
皆ここばかりを妄信する。
当時のブームに乗っかった多くの投資家心理はこうだろう。
「とにかく安くなった時に買えば儲かる!」こんな成功体験をひたすら信じ続ける。
ゆえに生じるバブル相場。
だが、相場というものは実態の成長ありきで初めて本物の成長を遂げる。
トレーダー的視点でもっと細かく解説すると、偏ったポジションの多くを解消し(値幅的調整)、長期にわたり底を這い転換点を形成し(時間的調整)、力を蓄えてからようやく本格的な上昇に乗り出せる。
この当時、わずか1ヵ月という期間で仮想通貨の実体は60万円→230万円に至るほどの成長を遂げていただろうか?実体は何も変わっていなかった。
実体よりも期待が行き過ぎた時、相場は実体の価格まで戻ってくる。
バブル相場形成後、急騰前の水準まで一気に暴落相場を形成しているが、そういう事である。
これが相場の原理原則であり、生理現象である。
つまりバブルなど一過性の上昇に過ぎず、いつ暴落が訪れてもおかしくない相場であるということ。
こんな相場が訪れたところで、暴落が怖くて夜も眠れない。
バブルが再来した場合
市場は既に学習している。
仮に仮想通貨市場が時間的、値幅的調整を妥協し、再び2017年末同様の生き急いだ急騰劇を見せるなら、市場は間違いなく過去起きた暴落の悲劇を警戒するだろう。
そうなれば、歴史は繰り返されることだろう。XEM/BTCがそのいい例だ。
◇XEM/BTC 日足チャート
本質的上昇とは?
過去の歴史を振り返れば見えてきます。
1.日経平均株価:月足チャート
チャートに描写している黄色い水平線がバブル相場形成における急騰前の水準(7000円)
この位置から生じた過去のバブル相場と、現在の上昇局面を比べてみると、以下のチャートのようになります。
おわかりいただけただろうか。
過去のバブル相場形成時よりも、上昇に転換するまでに長期にわたり底を這って力を蓄え、上昇に乗り出してからも「時間・値幅的調整」を行い、トレンド形成により生じたポジションの解消をしながら上昇している事が分かる。
これこそが長期投資に値する力強い上昇であり、実態の成長に伴った本質的上昇である。
前回のビットコイン65万割れのコラムでも述べたように、相場は買い売りのポジション比率がどちらかに偏りすぎた時、トレンドの持続力を失う。
さらに現在の日経平均のように、こまめな値幅的調整によりポジション解消を行い上昇局面を形成するという事は、トレンドの持続力を高めるだけでなく、時間的調整により『底堅さ』を規定してから再び上昇局面を描くため、バブル崩壊のような暴騰後に暴落するという相場を形成しがたい。
◇時間的調整が底堅い根拠
長期にわたり価格が滞留した領域は過去に投資家に生じた気の迷いの現れであり、過去に迷いが生じた領域を投資家は無意識的に意識するから。
2.WTI原油:週足チャート
チャートに描写している黄色い水平線がバブル相場形成における急騰前の水準(50.96ドル)
バブル相場の上昇局面と、現在の上昇局面を比較してみよう。
圧倒的に現在の方が圧力に弱さを感じられるかもしれないが、これぞ本質的上昇である。
実態の成長に伴わないバブル的上昇など、ただの一過性の上昇に過ぎず、いつ暴落が訪れるか日々怯えながら過ごさなければならない。
本質的上昇とは、上昇に乗り出すまでの長期間幾度となく地べたを這い、何度も頭を押さえつけられながら力を蓄え、転換点を形成し、時間・値幅的調整を行いながら生じるものをいう。
底堅さを示しながらの上昇ゆえに、次に下落トレンドに転換するにしても相当時間を要する。
つまり、急に暴落するようなことは「あり得ない」ネガティブサプライズが生じない限りほぼ考えられない。
実態の成長、それに伴う相場の成長をゆっくり見守れる。
こういうことをいうと「自分ならそれまでに利確して逃げられる!」という方がいらっしゃるが、それは『相場』と『食うか食われるかの戦場の狭間で必死で生き残ってきたプレイヤー』を甘く見すぎだ。
大した経験も積んでいない状態で、いったん利益確定した後もどんどん上がっていく相場を見て本当に無視できるかだ。
一気に安値をつけ、その後一気に買い戻される下髭をみて無視できるかだ。
多くの人はそれができない。一度得られた成功体験、どうしても心理的弊害がまとわりつく。
全てが人の弱さだ。
バブルは再来してはいけない。
警告しておこう。
希望的観測で急騰劇ばかりを妄信していれば、不安で押しつぶされる。
皆さんは本当の意味で自らが投じた、あるいは投資を検討している銘柄の未来を深く確信できているだろうか。
「恐怖心」があるなら、それは一体自分が何をしているのか分かっていない証拠である。
その銘柄について分かっていない。自らが投資を決断した明確な理由を分かっていない。
実体が見えていない。
相場はいつも間違える。
不安になった時はまず、実体の成長に目を傾けてあげてください。
実体がビジョンに向かい成長していれば、相場は後からついてくる。
以上、マクロ的視点でのコラムはこれでひとまず終了。
次回からはミクロ的視点から、BTCFX戦略をお送りいたします。
YouTubeでは日々金融市場全体を“ローソク足だけで”分析する動画を投稿しているので、そちらも是非ご参考くださいませ。
ありがとうございました。
Twitter:御堂唯也 さくらインベスト@Mido_yuiya
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※本記事の意見や予測は、筆者の個人的な見解であり、金融商品の売買を推奨を行うものではありません。
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