11/12(金)世界で2番手の取引量を誇るFTXが破綻しました。
これによって仮想通貨市場は大きく荒れたばかりでなく、世界的に大きなニュースとして取り上げられています。
何が起こったのか時系列で説明し、その規模もまとめてご紹介します。
FTXとは
2019年5月にサム・バンクマン・フリード氏らによって、設立された世界で2番手の取引所を誇っていました。100万人以上の利用者がおり、メジャーリーガーの大谷翔平選手がアンバサダーを努めていたことでも有名です。
米国にはFTX USがあり、2022年には国内取引所Liquid by QUOINEを買収し、日本にも進出を果たしました。
FTX CEO / サム・バンクマン-フリード(SBF)
- 1992年生まれのアメリカの起業家・投資家・元ビリオネア
- スタンフォード大学の教授を両親に持ち、マサチューセッツ工科大学を卒業
- 元BITMEXのランカー
- 2019年5月に暗号資産取引所のFTXを設立
- 最大保有資産は4兆5000億円に上るも、破綻により数日で2兆円を失う
FTX破綻騒動の時系列
11/2:アラメダの財務リスクが顕在化
11/7:CZがバイナンスが保有するFTT売却を表明
11/9:バイナンスがFTXの買収を発表
11/10:バイナンスがFTXの買収断念を発表
11/11:FTXには80億ドルもの資金が不足との報道
11/12:FTXが破産申請(Capter.11)を行う
11/14:バイナンスが救済基金の設立を発表
FTX破綻騒動の数値まとめ
FTTの時価総額:1兆3000億円 → 約600億円
SBF氏の資産:1兆5000億円 → 0円
FTTの下落率:95%
BTCの下落率:20%
報道から破綻までの日数:10日
引き出された金額:3000億円以上
FTXに投資したビリオネアの人数:17人
投資した企業の数:60社以上 ソフトバンクG、コインベースなど
破綻の日のに起きた不正流出:約600億円
事件の真相はFTXの業績悪化ではない
今回の事件の最大の謎は、世界第2位の仮想通貨取引所がわずか数日で破綻してしまったことです。
これについて触れているメディアがほとんどありませんので、以前当欄のコラムニストを務め、仮想通貨取引システム開発企業の代表を務める加藤宏幸(ひろぴー)氏に見解を求めました。
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今回の事件は、ほぼ間違いなくFTXの業績が悪かったわけではありません。
問題は、親会社であるアラメダ・リサーチです。投資会社である同社は、今年5月に起きたテラショック以降、ブロックファイなど、多くの企業を買収・救済を行いました。それ以前にも、多くの企業に投資を行っており、企業データサイトCrunchbaseに記録されている情報だけでも、これまでに185件への投資を行っていることが分かっています。
その資金の大半が、取引所トークンであるFTTトークンを担保とした借り入れ契約の可能性があり、財務上問題がある可能性をCoindeskが報じたことが、今回の騒動の始まりでした。
数日後に、バイナンスがFTTの売却を発表したことで、FTTの価値が急落。親会社が立ち行かなくなったことで、FTXも破綻に追い込まれてしまったという次第です。
破綻の数日前には、FTXの顧客資産をアラメダに送付し、FTTの買い支えを行っていた可能性が高そうです。
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この見解を聞いたときに「銀行に倒産の噂が流れると倒産する」という言葉を思い出しました。
FTXは交換業者ですから、取引する人がいなくなると倒産してしまいます。そして、親会社の資産の大半が子会社の取引所トークンというリスクを孕んでいるため、倒産までのスピードが加速。
最後には、CEOが顧客資産を勝手に利用するという行為により、あっという間に追い込まれてしまったようです。これは、2017年ごろにコインチェックが顧客の保有するLSKをステーキングに出すことでも見られました。ただし、当時の交付書面では問題なかったようです。
FTXグローバルは、当局から認可を受けた交換業者ではありませんでした。ただし、日本や米国法人は認可を受けていました。
国内の交換業者は、協会により財務状況の管理を行っているようです。これに延長して、親会社の資産状況の報告義務や取引所トークンの保有率などの報告義務などがあれば、今回のような事件は起きなかったのかもしれません。