オリエンタルラジオの中田敦彦さんが、YouTubeでビットコインの歴史と未来について紹介していました。こういう知名度のある方が話してくれると、仮想通貨への注目度が高まりますよね!再生数は80万回を超えています。
そこで今回は、この動画を基にビットコインの歴史とそこから仮想通貨の未来について考えていきたいと思います。
また収録時間の問題もあってか、大事な事件が説明されていませんでしたので、補足説明しておきます。
ビットコイン誕生
2008年10月31日に、Satoshi Nakamotoがビットコインに関する論文を発表しました。そして、ビットコインが誕生したのは、それからわずか2ヵ月後となる2009年1月3日のことでした。この時にビットコインのブロックチェーン最初のブロック(ジェネシスブロック)が誕生したのです。
しかし、実際に決済手段として使われるまでには、そこから1年以上後のことです。2010年5月22日には、初めてビットコインによって商品が購入されました。1万BTCとピザ2枚(約25ドル)の交換が行われましたが、この時のビットコインは約0.2円でした。なお、この日はビットコイン・ピザ・デーとして知られています。
参考:13億円のピザ
マウントゴックスの登場
2010年7月18日に世界で初めてビットコインを扱う取引所としてマウントゴックス(Mt.Gox)が現れました。その前身はトレーディングカードゲームマジック「ザ・ギャザリング」のオンライン交換所であり、その当時は同社だけが仮想通貨を取り扱う状況となっていました。
TIME詩に掲載
2011年4月16日にビットコインはTIME誌に掲載されたことで注目を浴びました。そして最初のバブルを迎え、100円以下で推移していたビットコインは一時3100円まで上昇しました。しかし、その直後である6月19日にマウントゴックスがハッキング被害を受け、ビットコイン価格が著しく下落しました。しかし、このハッキング事件はビットコインの知名度を上げるプラスの要素もあったようです。
半減期の到来
2012年、ビットコインは500円から1000円へ上昇しました。5月9日にFBIがビットコインに関するレポート出し、11月28日には初めての半減期を迎え、マイニング報酬は50BTCから25BTCへと減少しました。
キプロス危機でビットコインに脚光
2013年に、ビットコインは大きな転換期を迎えることになります。3月16日にギリシャ危機を発端としたキプロス経済危機によって、同国の銀行で預金されているお金に対して税金をかけるという事になり、信用不安が押し寄せました。その結果、国家が保証しているお金は国家によりコントロールされる可能性があると分かり、非中央集権大衆であるビットコインに注目が集まりました。そして、ギリシャ人を中心にビットコインへ資産逃避したため、価格は1万円台から一時10万円まで急騰しました。
このことにより、世界中でビットコインに注目が集まりました。
そんななか、10月には闇サイトであるシルクロードの運営者であるロス・ウルブリヒト氏が逮捕。同氏が保有していたとされる14万4000BTC(当時のレートで28億円程度)もFBIに回収されました。
マウントゴックス事件
2014年2月には、運営トラブルが相次いでいたマウントゴックスがビットコインの払い戻しを停止。民事再生法手続きを始めるために取引所を閉鎖しました。これにより、同社から114億円ほどの資金が消失(自社保有分10万BTC、ユーザー保有分である約75万BTC、ユーザー預金額である28億円分の預金が消失)したことが分かり、負債総額は65億円に上りました。2015年9月には、破産管財人は顧客ら約2万4700人が届け出た債権の総額が約2兆6630億円になったと発表しています。 しかし、その後、コールドウォレットに20万BTCが保管されていることが明らかとなりました。
なお、2014年は国内交換業者の多くが誕生した年でもありました。
4月8日:etwings(Zaifの前身)がサービスを開始
5月26日:bitFlyerがサービスを開始
6月18日:bitbankがサービスを開始
6月30日:QUOINEがサービスを開始
7月18日:Dellがビットコイン決済を開始
9月19日:Coincheckがサービスを開始
ハッキングにより、ビットコインは怪しいという噂が広がってしまいましたが、国内取引所が広がったビットコインの重要な転換点であったように思います。
しかし、マウントゴックス事件以降、ビットコインは冬の時代を迎えることになります。前年に闇市場のシルクロード運営者が逮捕された後にも、似たような闇サイトが立ち上がりビットコイン決済を受け付けていたことにより、ビットコインに対する悪い評判が広がってしまったのです。
一方で、リップル社にグーグルが出資したこともあり、日本ではリップルが広がりを見せた時期でもありました。
2015年1月4日には、当時最大の取引所であったビットスタンプ(bitstamp)がハッキング被害(約5億円)を受け、価格は横ばいで推移しました。
2016年7月9日、ビットコインは2回目の半減期を迎え、採掘報酬は25BTCから12.5BTCへと減少しました。ここで価格は再び上昇し、3万〜7万円へ浮上。半減期後には価格が下落したものの、年末には中国人の資産逃避先としてビットコインに注目が集まり、史上最高値である10万円を突破しました。
仮想通貨元年
2017年は、仮想通貨元年としてようやくビットコインとはどういうものかが世間に浸透するようになりました。
そのきっかけとなったのは、価格の高騰はもちろん、ビットコインを初めて法律で規定する改正資金決済法が4月1日に施行されたことが挙げられます。ビットコインを「決済利用できる財産的価値」として、国が定義したのは世界で初めてのことでした。
その後は、日本人主導の仮想通貨取引が加速。8月1日にセグウィット(Segwit)を導入するとともに、ハードフォークによりビットコインキャッシュへの分岐を経て、年末にかけて200万円を突破するほどの上昇劇を演じました。
ネムの大規模流出
仮想通貨ブーム真っただ中である2018年1月26日、コインチェックでネム(XEM)の流出事件が発生。約580億円の被害額となり、史上最大級の仮想通貨流出事件となりました。この事件をきっかけに仮想通貨に対する信頼性は失墜。相場は売りが売りを呼ぶような展開になり、2月にかけて約60万円台まで下落することとなりました。
その後、国内業者には金融庁による捜査が入り、一斉処分が発表されるなど相場を重くしました。
ハッシュ戦争
ビットコインキャッシュのアップデートを巡り、マイナー同士の争いが発生。これにより、ビットコインキャッシュは分裂し、ビットコインSVが誕生しました。マイニング状況が不安定となり、価格は80万円台から30万円台まで大幅に下落しました。
仮想通貨への投資が加速
2019年にはビットコインが10周年を迎えました。一時は30万円まで下落したものの、機関投資家の参入加速や、ミレニアム世代による投資の人気から再び注目が集まり価格が上昇。6月には150万円まで回復し、2018年の高値を更新する動きを見せました。
10月には、 中国の習近平国家主席が「中国がブロックチェーン技術を推進する」と発言し、わずか24時間でビットコインが30万円もの上昇を見せる歴史的な大相場となりました。
2020年にはビットコインが3回目の半減期を迎えるため、どこまで価格が上昇するのか楽しみです。
考察
中田敦彦さんの動画の中で興味深かった部分は、ビットコインの歴史についてはもちろんですが、何よりも仮想通貨の未来に対して肯定的であるところでした。ビットコインは政府が保証している通貨でも、金によって裏付けられている通貨でもなく、民主主義的な決済手段として現れたものです。ただ、法定通貨では起こり得ないような値動きの激しさがあり、通貨として機能するにはまだ難しい要素もあります。また、ハッキングのリスクも存在しているため、いまだに世間からは仮想通貨に対するイメージはあまり良くないのかもしれません。
そんな中で動画で絶賛していたのがフェイスブックの発表した仮想通貨リブラ(Libra)でした。リブラは、ステーブルコインとしてフェイスブックをはじめとしたビザやマスターカードなど20社を超えるリブラアソシエーションの運用する資金によって価値を保証されるため、ビットコインと比べて価格は安定するとされています。
そのため、現在の国によって発行された通貨を使い、金融政策や金融危機によって通貨の価値が大幅に変動してしまうリスクを無くしてくれる可能性もあると思います。国としてはリブラが流行ってしまうと自国通貨の価値が下がってしまうので、フェイスブックの理想とするリブラ経済圏には真っ向から対立することになりそうです。
しかし、私たち一般市民は世界で共通してひとつの通貨を使えるようになること、国際送金も安く早く行えること、価値が下がってしまう恐れも小さいことなどから、リブラには多くのメリットがあります。
海外に行った時に、現地通貨かリブラのどちらかを選べと言われれば、筆者はリブラを選ぶでしょう。競争原理が働き良いものが生き残っていくと、リブラが使われる可能性は十分あるのではないでしょうか。100年以上続く通貨は、英ポンドなどわずかしかないため、法定通貨・仮想通貨共に今後の転換点にあるのかもしれません。