ビットコインのファンダメンタルズには、ハッシュレートやアクティブアドレス、レバレッジのポジション動向など、様々な指標があります。
今回は、主なビットコインの価格を探るための代表的な指標を紹介します。
【代表的な指標】
・ネットワークの価値
・ハッシュレート
・メトカーフの法則
・マイニング損益分岐点
・アクティブアドレス
・CME先物建玉分析
ネットワークの価値
これは暗号資産の市場分析で有名なウィリー・ウー氏が考案した指標で、同氏のホームページではリアルタイムの数値を公表されています。NVT(Network Value to Transaction)とも呼ばれています。
ネットワークの価値(暗号資産の場合には流通するコインの市場価値)を日ごとの取引量で割った比率であり、この値が高ければ取引量に比べてネットワークの価値が高いことを表しています。NVTが中期的に一定の値に収れんすることを前提とすれば、NVT比率によってビットコインの価格が割高か割安かを評価することができます。
- ビットコインのNVT比率:時価総額 / 日ごとの取引量の90日移動平均
ハッシュレート分析
ビットコインの重要な指標のひとつであるハッシュレート。これは、ビットコインなどの暗号資産をマイニングする際の速度を表す指標です。1秒間に何回計算が行われているかを示しており、ハッシュレートが高ければマイニングを行う処理能力が高いということです。ハッシュレートが高くなる要因にはマイニング参加者の増加やマイニングマシンの高性能化が挙げられます。
なお、ビットコインのハッシュレートは、長期的には継続して右肩上がりに推移しています。
過去1年間ほどの推移を見ると、2019年1月11日時点の35EH/Sから138EH/sまで上昇。5月27日時点では90EH/Sと、約2.2倍に増加しています(coinwarz.comより)。5月12日に半減期を通過した後に下落傾向となっており、これが次回の難易度調整(6月4日ごろを予定)に影響を与えそうです。
出所:coinwarz.com
ハッシュレートとビットコイン価格の相関係数を見たところ、年によってバラつきがあるため中長期的には参考にはならないという意見があります。しかし、半減期直前にハッシュレートが上昇した際にはビットコインが上昇し、半減期が通過後に下落した際にはビットコインも下落に転じるなど、直近のハッシュレートの変化は短期的なビットコインの値動きにしっかりと影響しています。
また、業界関係者の中には「ハッシュレートがビットコインの下値サポートラインに関係する」という意見もあります。
メトカーフの法則
暗号資産の価値を探る有名な方法として「メトカーフの法則」と呼ばれる計算方法があります。
参考:ビットコインの価格変動の94%を説明できたメトカーフの法則は現在でも健在か
これは「ネットワーク通信の価値は、接続されているシステムのユーザー数の二乗(n2)に比例する」というものです。電話やインターネットなどネットワークの価値はつながるモノが多ければ多いほど価値が向上するという意味合いです。電話を例に挙げると、世界で2人しか使用していなければ「1対1」の繋がりしかなくネットワーク価値は限定されます。しかし、電話を使用する人が多ければ多いほど「ユーザー数×ユーザー数」という計算式でネットワーク価値は倍々ゲームで膨れ上がります。
この法則にビットコインのユニークアドレス(取引活動があるアドレス)の数を用いてフェアバリューを計算した結果、5月22日時点では約127万円。
なお、フィスコが今後のシナリオも計算していますので掲載しておきます。
※ユニークアドレスはBlockchain.com、ビットコイン価格はCoinMarketcapより
Neutralシナリオ(年率10%増加)
・2020年末予想・・・約153万円
・2021年末予想・・・約185万円
・2022年予想・・・・約224万円
マイニングの損益分岐点
ビットコインの維持に不可欠であるマイナー。その損益分岐点は、ビットコインの下値目途として考えられています。季節や新しいマイニングマシンの登場、難易度調整により変化するものの、マイニング大国である中国のマイナーの損益分岐点が注目されています。
半減期後の損益分岐点は、雨季とはいえ電気代3円/kwでも厳しい状況で、90万円台近くまで引きあがっているようです。なお、マイニングにおいて有利なカザフスタンでも80万円台と言われています。
参考:【取材】マイニング企業ビットフューリー紺野勝弥氏 × ひろぴー
アクティブアドレス
アクティブアドレスとは、残高のあるアドレスのことを指します。これが増えれば増えるほど市場の盛り上がりを示すという指標です。
直近のアクティブアドレスは100万を突破。前回100万を超えたのは2019年6月で、その時の価格はおよそ138万円でした。それ以前に100万アドレスに達したのは仮想通貨熱狂期であった2017年末から2018年前半となります。
出所:coinmetrics.io
CME先物建玉分析
CFTC(米商品先物取引委員会)は火曜日時点でのCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物の部門別ポジションをその週末に公表しています。FX市場でもCFTCが公表している非商業部門(投機筋)ポジションが注目されることと同じですね。
さて、CMEのビットコインの先物ポジションは、非商業部門ポジションをディーラー、アセットマネージャー、レバレッジ、その他という4つに細分化されます。非商業部門、とくにウェートが大きいレバレッジ部門のポジションは市場関係者の関心が高く、ヘッジファンドの売買が含まれているとの見方があります
毎週のポジション動向を見てもなかなか優位性は見いだせないものの、月末にはヘッジの売りポジションを解消しショートカバーを誘発することがあるため、SQの日にビットコインは上昇しやすいと言えます。
まとめ
これらの指標は、直ぐに反応するハッシュレートや先物の建玉もあれば、中長期的に収れんする指標もあります。
しかし、どれもビットコインの価格を分析するための重要な指標ですので、定期的に確認すておいた方が良いでしょう。