Ripple(リップル)は、日本で人気の高い仮想通貨です。
国際送金プロトコルの面もあり、金融機関の送金を幅広くサポートするものであることから、国際送金「を」根本から変える可能性のある技術と仮想通貨であるとも言えます。
リップル社が提供する国際送金のネットワークシステムであるリップルネット(RippleNet)には、日本の金融機関がいくつも参入しています。
しかしリップルの個人利用に関しては、幅広い支払い方法ができるなどの強みを持っているわけではなく、送金や決済に関してはビットコインの利用が主流となっています。
リップルはなぜ日本で人気となったのか。今回はその理由に関して考察していきます。
2017年の日本の仮想通貨市場の状況
2017年4月に日本でいわゆる仮想通貨法(改正資金決済法)が施行されたことをきっかけに、ビットコインなどの仮想通貨の価格は上昇。
世界中で仮想通貨への期待感から取引が過熱し、取引所の口座数は一気に増加しました。
リップルの価格も大きく上昇。
2017年3月には1円だったものの、3月末に三菱東京UFJ銀行がRipple社主催のグローバル銀行間コンソーシアムへ参加したことをきっかけにわずか3日間で8円台まで急騰。
その後はゴールデンウィーク期間の仮想通貨ブームの盛り上がりと、5月17日に発表されたロックアップの発表により一時50円台にまで上昇しました。
・リップル(XRP/JPY)日足チャート
また、この上昇劇に乗り遅れた人にもリップルはチャンスを与えてくれました。
ビットコインが200万円を越えて仮想通貨が過去最大級に注目されたのが2017年12月でした。
この月の11日から翌年1月4日にかけてリップルは35円から400円まで10倍以上に上昇。
雑に言えば、ビットコインで利益を出せなかった個人投資家も、リップルを買ったらみんな儲かったのです。
また2017年の段階では、coincheck、Zaif、bitFlyer が日本3大取引所と呼ばれており、世界でも有数の取引高を誇っている状況でした。
そのため日本全体として仮想通貨への投資に対する注目度が上がっており、時価総額が上位であったリップルに対する期待感が高まりました。
価格的にもビットコインやイーサリアムよりも安いという点が、リップルに買いの矛先を向かわせたのかもしれません。
同時期にネム(NEM)が急騰したのも同様の理由ではないでしょうか。
こうして、リップルで多くの利益を得た個人投資家が増えるタイミングで、"なんとなく"リップルに対する期待感が広く浸透し、人気の高い通貨となったのではないでしょうか。
仮想通貨の技術や機能は関係なく、値段が上がって利益が出たことは大きかったと思います。
通貨としてのリップル
人気の高さのもう一つの要因として考えられるのが、リップルの通貨としてのスペックの高さです。
リップル社が発表している処理能力の高さは1秒間で1500件となっており、これは様々なメディアで紹介されています。
また、ビットコインやイーサリアムで問題となっているスケーラビリティとは、無縁と言えるほどの処理能力・送金スピード(約7秒)を誇り、送金詰まりが問題となっていたビットコインと比較されることも多い状況でした。
- ・送金スピード
- ・従来の国際送金を変える
- ・スケーラビリティ問題が無い
これらの分かりやすい点が、人気となった大きな理由と言えるでしょう。
SBIグループとリップル
リップルが数々の大企業から出資を受けていることも、人気の理由の1つだと思います。
例えば、金融業界で非常に有名な企業であるSBIホールディングスは、 リップル社の株式を10%保有。
決算説明会では、代表の北尾吉考氏がリップルの将来性を語ることもありました。
また、過去には世界的に有名なファンド「Google Ventures」からも出資を受けており、Googleから出資を受けたという事実が投資を行う際に安心感を与えていると言えます。
加えて、銀行間の送金プラットフォームであるリップルネットや金融機関以外を送金プラットフォームでつなぐxRapid 、アジアでのリップル関連のプロジェクトを推進するSBI Ripple ASIAなど非常に多岐にわたるプロダクトや関連会社があります。
これほど多く企業に対してリップルが影響力を持つということになります。
そのため、プロダクトの利用が増えれば増えるほど、知名度やブランド価値は上昇。
リップルによる経済圏を確立することになるでしょう。
そうなると、リップル社の株式のように取引されているXRPの価格に期待が高まるのは想像に難くありません。
人気の高さと将来性
リップルが日本で人気が高い理由は、価格の急騰や送金スピードが早くデータ処理能力が高いなど、他のブロックチェーン技術よりも優位性があり確かな存在感を示していたことが挙げられます。
しかし、他にもリップルの知名度を上げる材料は多く、年に1度のリップルの国際的なイベントであるSWELLでは、国際的に知名度のある要人を招くことで有名で、これもその一つといえます。
2017年には元FRB議長であるベン・バーナンキ氏、2018年には元米国大領領であるビル・クリントン氏による公演がありました。
Ripple のプロジェクトは、今後も拡大していくことが予想されており、xRapidの利用企業も増えています。
1月23日にダボス会議では、リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOが登壇。
国際送金において、英国の国際送金サービス会社MercuryFXが、xRapidを使った英国ーメキシコ間の送金で「約1万2100円と31時間」の節約に成功したと発表しました。
参考:リップルCEO 国際送金市場における10兆ドルの無駄を指摘 |ビットコインとXRPの役割の違いも解説
実際に既存の金融システムを大きく変えているリップルは、新しく参入する投資家にとって分かりやすく、今後も日本で人気の通貨としてあり続けるでしょう。