◇ビットコインは実物ではなく「暗号」
支払いにも使えるし、送金にも使える。もしかしたら銀行や証券会社でも使えるようになるかも…。そうなると、円やドルといった法定通貨と、ビットコインなどの仮想通貨はどこが違うのでしょうか。
ビットコインへの理解を深めるために、法定通貨と仮想通貨(ビットコイン)の違いを比較してみましょう。
まず大きく異なるのは、実物があるかないか、です。
法定通貨にはお札や硬貨がありますが、ビットコインにはお札も硬貨もありません。
ビットコインを買うには、仮想通貨の取引所に口座を開設する必要があります(それ以外にも買う方法はありますが、取引所で買うのがおすすめです)。
口座を開設して、ビットコインを買うと、口座にある「ウォレット」(お財布のようなもの)にビットコインのデータ(暗号)が入ります。買い増せばウォレットに追加されますし、売却したり、どこかへ送金したりすると、ウォレットからビットコインが出ていきます。
お札や硬貨などの形はなく、ビットコインのデータをやりとりする、といったイメージです。
◇ビットコインの発行量には上限がある
円なら日本銀行(日銀)など、法定通貨は各国の中央銀行が発行していますが、ビットコインは、ビットコインを発行するためのプログラムに沿って自動的に発行されています。
法定通貨には発行の上限が決まっておらず、お金をたくさん流通させたい(景気をよくしたい)ときにはたくさん発行し、景気を引き締めたいときには発行量を減らします。
ここ数年、先進国では大幅な金融緩和で、膨大な量のマネーが発行されました。お金の価値は需要と供給で決まりますから、流通するお金の量が増えれば原則的にお金の価値が下がってしまう心配もあります。
それに対してビットコインは、発行量の上限が決まっています。
ビットコインの単位は[BTC(ビットコイン)]と表記されますが、2009年にはじめて発行されてから約10分ごとに発行。2140年頃までに2100万BTCが発行されることになっており、すでに75%の量が発行済みです。あくまでもイメージですが、1BTCが6万円と仮定すると、上限まで発行された場合の時価総額は1兆2600億円になる計算です。
ビットコインの量は国の金融政策に左右されることがなく、量が増えすぎて価値が下がるといった心配はなし。これは通貨として大きなメリットといえます。
また法定通貨は、事実上、国が信用を裏付けています。
たとえば円をドルやユーロに交換できるのは、円が信用されているから。言い換えれば、日本のお金だから価値がある、と世界の人々に認められているからです。しかし経済発展していない国の通貨では、対外的にお金の価値が認められないこともあります。名も知らぬ国の通貨を差し出され、円と交換して、と言われても困りますよね。
それに対してビットコインは国が介在していませんから、国の信用が失墜しても、ビットコインの信用が失墜する心配はありません。ビットコインを使っている人、使われているという事実が、ビットコインの信用の裏付けです。
◇支払いにも送金にも使える
用途については、法定通貨もビットコインも大きな違いはありません。決済や送金にも使えますし、投資もできます。
ただし、今のところ、ビットコインはどんなお店でも使えるというわけにはいかず、そこが法定通貨との大きな違いといえます。
また、法定通貨は銀行に預ければ利息が付きますが、ビットコインは銀行に預金することはできません(2016年現在)。ただし、取引所でビットコインを買って保有しておくことはでき、取引所によっては「貸ビットコイン」(ビットコインを第三者に貸し出す)をすることで金利収入を得ることもできます。
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