マウントゴックス社の事件は、ビットコインの基盤であるブロックチェーンが原因ではなく、仮想通貨取引所の問題です。
取引に必要なシステムは、取引所によって異なり、セキュリティの強度にも違いがあります。
ビットコイン関連事業者が加盟している「日本ブロックチェーン協会」では、各取引所が一定の安全性をクリアするため、最低限のセキュリティ対策を規定しています。
たとえば、取引所には「コールドウォレット」を整備しておくことが求められます。ウォレット(記録媒体)とは、ビットコインを入れておくためのお財布のようなもので、大きく分けると「ホットウォレット」と「コールドウォレット」があります。
ホットウォレットはオンライン上に存在するお財布、コールドウォレットはインターネットに接続しないお財布で、コールドウォレットに顧客のビットコインを入れておけばネット上の脅威から隔離することができます。万が一、サーバーがハッキングされるといった外部からの攻撃を受けても、被害を避けることができるというわけです。多くの仮想通貨取引所は、95~98%をコールドウォレットに振り替えて管理をしています。
またマウントゴックスの事件は、内部の犯行でした。取引所のガバナンスやコンプライアンスの姿勢も重要で、特定の人間が不正を働くようなことがない体制が求められます(一般企業でも同様ですね)。
2017年に施行される改正資金決済法では、仮想通貨が決済通貨として正式に認められますが、この法律において、仮想通貨交換業者は金融庁への登録が義務付けられます。これは金融庁の監視下に入る、ということを意味します。
また取引所は監査法人や公認会計士による監査も必要となり、第三者のチェックが入ることになります。
改正資金決済法は、仮想通貨についての利用者保護が最大の目的なのです。
私も仮想通貨に関わる者の一人として、ビットコインが広く活用されるようにするためにも、取引所の信用を高めることが非常に重要だと思っています。
その取り組みの1つとして当社(ビットポイント)では、資産の分別管理を行っています。これは、口座開設者と自社の資産を明確に分けて管理する、ということです。
たとえばお客様が当社に100万円入金し、70万円でビットコインを買い、残り30万円を口座に残す場合、70万円分のビットコインはウォレットに入り、30万円は信託銀行に預ける形になります。
分別管理は、仮想通貨交換業者に対して法的に義務付けられているものではありませんが、FX会社などではすでに浸透しているルールです。分別管理をしていれば、取引所(取引所を運営する企業)が自社のために顧客の資金を流用してしまうリスクを防ぐことができ、万が一、企業が破綻しても、顧客の資産は守られます。
実際のビットコインの売買は、ブロックチェーン上に記録されていますが、個人の方がブロックチェーンの取引履歴を照合することは困難です。しかし、取引所では取引記録の詳細を管理しており、ログイン後のマイページなどで取引記録が分かるところがほとんどですし、取引所に情報照会をすれば本人の取引履歴に限り回答してもらえます。
そのため、万が一、トラブルなどがあり取引履歴の確認が必要になったときには、取引所を通じた売買であれば簡単に記録を確認することができます。
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