ビットコインはどんなことに使える? 何ができる?
ビットコインとは、インターネット上で発行、取引される仮想通貨の1つです。
「仮想」という言葉があるため、「空想上のお金なのか」とか、「どんなことに使えるのか」といった疑問を感じがちですが、普通のお金(法定通貨といいます)と同じように使うことができます。
お札や硬貨としてではなくネット上に存在し、安全な取引のために暗号化技術が使われていることから、「暗号通貨」という呼び方もあります。
1万円札や硬貨のような実物がないビットコイン。いったいどんなことに使えるのでしょうか。まずはビットコインでできることを簡単にご紹介していきます。
ビットコインは欧米や中国、東南アジアなど、多くの国で利用されています。
私たちがいつも使っているお金のような姿形はありませんが、「お金」として、「円」や「ドル」と同じように使うことができます。ビットコインでできることは、大きく分けて次の4つです。
①ビットコインの売買でリターンを得る(投資)
②買い物の代金などをビットコインで支払う(決済)
③ほかの誰かにビットコインを送る(送金)
④少額の寄付や投資に使う(ファンディング)
順にみていきましょう。
①ビットコインの売買でリターンを得る(投資)
現在のところ、ビットコインの利用で最も多くを占めるのは、「投資」です。
日本にはすでに10か所の「仮想通貨取引所」があり、インターネットを通じてビットコインなどの仮想通貨を売買できます。ビットコインの価格が安いときに買い、値上がりしたところで売れば、その差額をリターンとして得ることができます(ほかにもリターンを得る方法がありますが、詳細は第4章で述べることとします)。
投資はお金に余裕がある人がすることだと思っている人もいますが、ビットコインは数百円から売買が可能。若い人や、子育てにお金がかかっている人など、お金に余裕がなくても、手軽に投資することができます。
国内における1日あたりの取引額は、2016年10月現在で100億円を超えるときもあります。実際に頻繁に取引している人は3000~5000人といわれており、株式などに比べれば投資に参加している人が多いとはいえませんが、口座を開設している人は30万人にものぼり、今後、取引をはじめる人は増えると考えられています。
株式などは銘柄選びが難しく、企業の成長性はもちろん、財務状況やライバル企業の様子なども確認しなければなりません。それに対してビットコインは欲しい人が多ければ上がるなど、価格の決まり方がシンプルなので、投資しやすいという面もあります。
②買い物の代金などをビットコインで支払う(決済)
お店で買い物をしたり、食事をしたりしたとき、あなたはどうやって代金を支払っていますか? 現金で支払う、クレジットカードで決済する、Suicaなどの電子マネーで支払う、デビットカードを使うなど、シーンに応じて使い分けていると思いますが、実はビットコインでも支払いができます。代金が1万円だとしたら、1万円相当のビットコインを支払うのです。
ビットコインはお札や硬貨といった実物がありませんから、現金のようにお財布から取り出して支払うことはできません。ではどうするかというと、取引所に口座を開いてビットコインを入れておき、そこから代金が引き落とされるようにする仕組みです。
たとえばデビットカードでは、代金が預金口座から引き落とされますが、ビットコインの決済では、取引所に開いた口座からビットコインが引き落とされるというわけです。
また、電子マネーではカードやスマホにお金をチャージして使いますが、ビットコインはスマホにビットコイン用のアプリを入れ、お店の端末にスマホをタッチするなどして代金を支払うこともできます。
ビットコインで支払いなんて見たことがない…という人がほとんどだと思いますが、銀座のお寿司屋さん、六本木のバー、下町の焼肉屋さんなど、ごく普通のお店ですでにビットコイン決済がはじまっています。クレジットカードで決済するときと同じように、ビットコイン決済ができるお店では、レジカウンターで一瞬のうちに決済できます。
今後、ビットコインで決済できるお店はどんどん増えていくと考えられます。
なぜなら、クレジットカードで決済するより、ビットコインで決済するほうがお店にとってメリットが大きいからです。
お客さんがクレジットカードで支払った場合、お店はクレジットカード会社に対して代金の3~5%程度の手数料を支払わなければなりません。ビットコイン決済では、この手数料が1%程度で済みます。つまり、お客さんにビットコインで支払ってもらうことにより、お店はコストを抑えることができるのです。
コストが削減できた分は、お客さんにサービスとして還元される可能性もあります。時々、現金払いならポイントカードのポイント付与率が上がるというお店や、現金払いに限って使えるクーポンを用意しているお店がありますが、それはカード払いより現金払いのほうがお店にとって有利だからです。ビットコインでも、同じようなサービスが登場しそうです。
この決済機能は、ビットコインをはじめとした仮想通貨の大きな魅力と考えられており、いずれ、クレジットカード決済に取って代わる可能性もあります。実際、Amazonでは北米でビットコイン決済をはじめており、順次、エリアが拡大される見込みです。
当初は電車に乗るためのものだったSuicaが、次第に駅ナカ、そして、街中で使用可能となったように、ビットコインが使えるお店も広がっていくでしょう。
③ほかの誰かにビットコインを送る(送金)
送金でも、ビットコインの魅力が発揮されます。
とくに海外においては、送金の手段としてビットコインが便利に使われています。
たとえばあなたの家族が海外に留学し、あなたは毎月10万円を仕送りするとします。
このとき、銀行の海外送金のサービスを利用すると、1回あたり2500~4000円程度の手数料がかかってしまいます。かなりの負担ですが、ビットコインを使えば、この手数料は劇的に安く済みます。
方法もいたって簡単。
あなたは日本の仮想通貨取引所に口座を開いて、ビットコインを購入。送金先である家族は、現地の仮想通貨取引所に口座を開きます。あなたは自身の口座から家族の口座へ、インターネットを使ってビットコインを送金。家族は受け取ったビットコインを現地の通貨に交換(ビットコインを売却)すればいいのです。
ビットコインを送る、受け取る、現地の通貨に替える、というアクションにかかる時間は数分程度であり、かかるコストは数十円から数百円程度(利用する取引所によって異なる)。
銀行の海外送金では相手にお金が届くまで数日間かかりますが、それが瞬時に行われ、費用もかなり安く済むのです。
これは大変利用価値が高く、すでに日本でも利用している人がいますし、海外では単身赴任先から母国にいる家族にビットコインを仕送りするといったことが、普通に行われています。
④少額の寄付や投資に使う(ファンディング)
送金の手数料が安いというメリットを活かして、ビットコインにあなたの気持ちを乗せたり、楽しく使ったりすることもできます。少額の寄付や投資に使う、というものです。
国内外で発生した大規模災害、途上国での子どもたちの教育、紛争地の医療など、支援金を送りたいと思うことがありますよね。また最近では、ネットを活用したクラウドファンディングが注目されており、数億円を超える資金が集まるようにもなっています。クラウドファンディングとは特定の事業に賛同した人が投資するもので、少額でもできる手軽さから参加する人が増えています。
しかし銀行振込では振込手数料がかかり、500円を寄付する場合でも210~420円の費用がかかってしまいます。クレジットカードで寄付できる例もありますが、その場合は寄付先がカード会社に手数料を支払うことになり、寄付したお金を丸々使ってもらうことができません。
そこで利用したいのが、ビットコインです。
前述のとおり、ビットコインを使えば送金の手数料はほとんどかからず、街角募金と同じような感覚で、少額でも気軽に寄付や投資ができますし、相手側もコストを抑えることができ、お金が無駄なく活用できるというわけです。
クラウドファンディングの価値は、資金を集めること以上に多数のファンからの支持を集めることにあるのですが、ビットコインを使えば、100円だけ応援したいファンを1万人集めて100万円のプロジェクトを立ち上げる、といったこともできるのです。
いかがでしょうか。
ビットコインは、お札や硬貨はありませんが、形のあるお金と同じように使うことができるのです。使い方によっては、円などの法定通貨より便利に、お得に使うこともできます。
電子マネーはその便利さから、瞬く間に生活に浸透していきました。ビットコインの利便性やさまざまなことが低コストでできるといった魅力が理解されれば、使える場面は次第に広がっていくでしょう。
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